サブブランドに求められる安心感と高サービス
サブブランドが受け入れられる理由を「MNOより安く、MVNOよりも安心」と述べたが、UQコミュニケーションズが10月24日に発表した内容も、こうした分析に即したものになっている。同社は月額350円で各種設定やウイルス対策、接続操作の説明といった内容を電話または遠隔サポートで行う「UQあんしんサポート」、スマートフォン向けのフィルタリングサービス「安心アクセスV」(無料)、子供に預けた端末でSNSなどに投稿された文章を分析し、禁止ワードを通知したり、つながりあっている友達の分析、何時頃最も利用しているかを把握する「filii」(月額300円)といったサポートサービスを発表した。
また、店頭販売する店舗を現在の約420から2016年度内に約1000店舗へと拡大する予定で、これに伴い直営店「UQスポット」を全国47都道府県に展開し、修理受付と代替機貸し出しの開始、ユーザー同士のコミュニティサイト「UQ PLANET」のオープンも発表した。
店頭販売とサポート体制はいずれも低コスト志向のMVNOが抱える課題の一つ。店頭販売網については、イオンモバイルやOCN&GEOといった販売チャンネルを抱える大手MVNOがようやく全国展開と呼べるレベルに達する程度であり、直営店だけでも数千といわれるMNOには到底およばない水準。サポートに至っては大手ですら必須サービスである即日開通や対面サポートを準備し始めたところで、まさにこれから始まるという段階だ。
UQはMNOであるauとの共同販売戦略をはじめ、携帯販売代理店や家電量販店、直営店を問わず素早く店舗展開できる体制を整えており、充実したサポート体制と販売店を数千持つMNOとまではいかなくとも、それに準じる体制を整えつつある。
UQはKVEとの合併以降、積極的にライバル社が発表した施策をトレースしてきた。それをパクリと言ってしまうのは簡単だが、同時に必要とされるものは貪欲に取り入れていこうという覚悟を表してもいる。サブブランド戦略は親会社が取りこぼしている低価格帯のユーザーを拾っていくことで市場全体に影響力を持たせるものだが、MNOと比べると限られたリソースでMVNOの低価格と戦っていかねばならないというのは、想像以上にキツいものだろう。
今回の発表も、こうした厳しい戦いに備えた体制を整え、要求されるハードルを越える覚悟の表れとみていいだろう。果たしてその覚悟が市場に伝わるか、サブブランドという存在を市場がどう捉えるかも含めて、大いに注目したい。