スペック vs 体験

アップルは9月7日に、iPhone 7、iPhone 7 Plusを発表する予定だ。アップルは、サムスンよりも3倍ほどのスイッチャー(他のブランドから乗り換えてくるスマートフォンユーザー)を抱えているものの、大部分は買替え需要を見込むことになる。

新型iPhoneもサムスンと同じ「不発リスク」が常につきまとう。魅力を放つ製品でなければ、低調な買い換え需要による販売低迷を招く可能性があるからだ。予測される新型iPhoneのデザインは、iPhone 6sシリーズからさほど大きく変わらないとみられていることから、「新しいデザイン」を目当てにしたユーザーを失望させる可能性がある。

アップルは常々、「スペックがすべてではない」としてきた。デザイン・スペック・OSを通じた体験の良さが、iPhoneの魅力だ。しかしこのスペック偏重への否定は、前述の買替え需要の分かりやすい喚起をより難しくしている。サムスンのように、既存ユーザーの誰もを黙らせる高スペックを打ち出す戦略を、自ら封印しているように見えるからだ。

「スペックがすべてではない」としてきたアップル。iPhone 7でも高スペック路線は封印か(写真はiPhone 6sシリーズ)

Galaxy Note 7がリリースされたてすぐに、面白いベンチマークのビデオが登場した。最新のGalaxy Note 7と1年前のiPhone 6sの「アプリ起動ベンチマーク」を、PhoneBuffが公開したのだ

このテストでは、標準アプリと、AndroidとiPhone双方で利用できるアプリ13本を順番に起動させ、2周のタイムを規則というものだ。このテストでは、iPhone 6sの方が大幅に早いタイムを記録し、Galaxy Note 7を打ち負かした。プロセッサやグラフィックスの処理性能を打ち出すベンチマークの数値とは違う、日常での使用をイメージしたテストで、iPhoneが優れていると結論づけるものだった。

Galaxy Note 7の発売とGalaxy S7シリーズの好調さに水をさそうとしているようにも見えるが、前述の通り、ブランドの乗り換えは少ないため、このビデオを見たからiPhoneに乗り換えようと考える人はごくわずかだろう。