Appleがスペシャルイベントで用意している目玉とは

  • Apple Watch

Apple Watchについてはイベントを前に在庫がすでに消滅しているという話が出ており、筆者が聞いている事前情報と照らし合わせてもアップデートの可能性が非常に高い。ただ、デザイン的には従来から大きな変化はなく、機能的には「バッテリ容量増加による駆動時間の増加」「プロセッサの世代交代によるパフォーマンス増加」「GPS搭載による活動量計としての機能増加」の3つの強化点に集約されるとみられる。特に2番目はアプリ開発者が大きく期待している部分であり、Appleとしても停滞気味のwatchOSプラットフォームを盛り上げるためにも何らかのテコ入れを行ってくるはずだ。

次にサービスや周辺機器関連だが、ここで問題となるのはイベントにおける時間配分だと筆者は考える。発表内容のボリュームから考えると70~80分程度だと予想されるが、このうちの3分の2程度はハードウェア紹介以外のデモやアピール時間になるだろう。ここでキーワードとなるのが「音楽」「Siri」「Apple Watch」の3つのキーワードだ。

  • 音楽

9月のAppleのスペシャルイベントが、もともと「iPod」の新製品や「iTunes」のアップデートを発表する「音楽イベント」だったことを憶えている人はどれだけいるだろうか。これら音楽関連の発表を行った後、会場に招待された著名アーティストらを前に、やはり著名アーティストによるライブ演奏が行われるのがイベントの締めくくりだった。翻って現在、このイベントは携帯電話のトピックに取って代わられたわけだが、少なくとも海外での新学期シーズン開始に合わせて音楽関係のプロモーションを仕掛けてくる可能性がある。9月初旬時点ですでに配信が開始されているAppleの新しいプレイリストのほか、Apple Music関連のアップデート、そしてイヤフォンジャック廃止を受けた「Beatsのワイヤレス製品」など、いくつかの関連発表が行われるとみられる。

  • Siri

次が「Siri」だが、Appleは6月のWWDCで「Siriのサードパーティ開放」と「iMessageのプラットフォーム化」について発表を行っており、デベロッパーらに「Siri」と「iMessage」の積極活用を促している。iOS 10の正式リリースは、新型iPhoneが発売されると噂される9月16日より前のタイミングでやってくるとみられるが、ここでの目玉として3か月の猶予期間を経て登場した一部サードパーティのiMessage対応サービスやSiri対応アプリの紹介が行われることになるだろう。

また、すでに忘れている方も多いかもしれないが、このWWDC直前にはSiriのサードパーティ開放と合わせて「AppleがAmazon Echoライクなデバイスを市場投入する」という話が出ていた。もっとも、数多のデバイス製品を持つ当のAppleがAmazon Echoそのものを市場投入することはなく、おそらく「Siriをインタフェースに、対話で情報を得たり家電の制御が可能なサービス」を発表することになるだろう。その窓口となるのが「Apple TV」や「iPhone」であり、おそらくは「Apple Watch」なのではないかと予想する。さらにいえば「HomeKit」に関する最新アップデートが行われる可能性もあり、これで家電制御をアピールするのが今回のAppleスペシャルイベントの目玉の1つではないかと予想する。

このほか、Apple WatchについてはSiri以外にも「アプリでの家電制御」も想定していると思われる。iPhoneよりも身近な制御デバイス兼センサーとしてApple Watchを活用し、Apple Watchのさらなる売り込みを目指すというのが今回の同社の狙いの1つかもしれない。

同イベントでの発表が噂される「Apple Pay日本上陸」と「iPhoneへのFeliCa搭載」は、「Apple Pay対応国が増えました」というコメントが得られるのみで、「iPhoneが(FeilCa搭載で)日本を含む世界の交通系標準に対応しました」という事実さえ触れない可能性があるとみている。いずれにせよ、Apple Payの話題はまだローカル対応の域を出ないトピックではないかと筆者は考えている。