iPhoneをはじめとした「NFC対応スマートフォン」にFeliCaチップが搭載され、グローバルモデルでもモバイルSuicaなどのおサイフケータイサービスが使えるようになる可能性が出てきた。14日にNFCフォーラム ジャパン・ミーティングにおいて、JR東日本IT・Suica事業本部担当部長の山田肇氏が紹介した。早ければ、17年4月に発売されるモデルから、FeliCaが搭載されるかもしれない。

JR東日本の山田肇担当部長

非接触ICチップのNFCには、国際規格としてNFC Type A、Type B、Type Fの3種類がある。このうちType FはFeliCaであり、グローバルモデルでは一般的にType A/Bの2種類しか搭載されていない。国内の携帯電話キャリアが販売するAndroidスマートフォンでは、NFC Type A/B/Fの3種類を搭載するモデルがほとんどで、これによりFeliCaを使ったおサイフケータイサービスが利用できるようになっている。

NFC Type F(FeliCa)もNFCであり、NFC対応スマートフォンはFeliCaのみ搭載、NFC Type A/Bのみ搭載、NFC Type A/B/F搭載という3種類がある

NFC Type A/B/Fの違い

NFCは3つの規格に加え、3つのモードが存在する

スマートフォンなど端末がICカードと同じ動作をするカードエミュレーションモード、端末でICカードなどの情報を読み取れるリーダー/ライターモード、端末同士で直接データを交換するP2Pモード

NFCはさまざまなサービスで活用されているが、ユースケースやサービスによって複数の規格が乱立し、互換性の問題があった。この状況を改善すべく、国際標準化団体のNFCフォーラムでは、各規格間の調整を行うハーモナイゼーション(協調)によって相互運用性の確保を目指してきた。

NFC関連規格では、国内だけでもこれだけのものがある。決済向けのEMV Contactless、JRと私鉄などの相互乗り入れ用のサイバネ規格など、さまざまな規格がある

JR東日本が体験した不具合では、本来はリーダー/ライターがType A、B、Fの順に検索して、端末側がFの電波を発していたらそこで捕捉して処理するのだが、Type Aの時点で処理を実行しようとして止まってしまう、という例があったそうだ

まずは決済分野でのハーモナイゼーションによって、MasterCardコンタクトレスやpayWaveといったサービスがどの端末でも、どのリーダー/ライターでも使えるように環境が整備された。山田氏は、この時「NFC Type Fはスコープ外だった」として、このハーモナイゼーションに参加できていなかったことを示しつつ、これに続いて2014年からスタートしたハーモナイゼーションとして、公共交通分野のワークショップにJR東日本が参加し、Type Fも含めて国際的な相互運用性の確保を目指してきた。

決済分野では、関係者が集まってハーモナイゼーションを完了させたが、NFC Type Fは規定されなかった

ハーモナイゼーションの動きでは、まずは決済分野から始まり、公共交通分野へと移行してきた

NFCを使った公共交通サービスでは、すでにロンドン、香港、シンガポールなどで提供されている

こうした関係団体が集まってハーモナイゼーションが始まり、JR東日本は第2回会合から参加