新型iPhoneに期待される強化点

前述のYamashita氏のレポートでもまとめられているが、今年は例年以上に噂の集積度が高く、むしろ噂に上っていないサプライズがどの程度含まれるかに注目したほうがいい状態かもしれない。発表会を直前に控えた週末に、Apple系の動向レポートでお馴染みのKGI SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuo氏の最新調査報告が出され、9 to 5 MacApple InsiderMacRumorsなどで報じられている。これに関してThe Vergeのまとめがわかりやすいので、個々についてみていこう。

  • カラーバリエーション

カラーバリエーションは、ローズゴールド、ゴールド、シルバー、ダークブラック、ピアノブラックの5色か。既存のスペースグレイの代替となるのが「ダークブラック」で、一部では「スペースブラック」と呼ばれている

  • ストレージ

ストレージは16GBモデルが廃止となり32GBが最低ラインに。これに128GBと256GBを加え計3バリエーション。

  • 内蔵メモリ

「iPhone 7 Plus(仮称)」は3GBメモリとなるが、これは同モデルで採用されるデュアルカメラ機能をサポートするためのものとされる。通常版の「iPhone 7」は2GBで現状維持。

  • カメラ

搭載が噂されるデュアルレンズでは、「ワイドアングル」「望遠」の2種類のカメラを採用し、それぞれが1,200万画素センサーを内蔵する。これは擬似的に光学ズーム機構を作る仕掛けとされる。さらにLytroのように「後でフォーカスを変える」ことも可能か。

  • 防水

IPX7相当の「生活防水」に対応で、これはApple Watchクラスの防水性能となる。ただ、過度な防水アピールはAppleにとって多大な訴訟やリコールのリスクを抱える結果となるため、発表会で触れる可能性は低いとも考えられる。なお、メカニカルスイッチは防水性能実現のハードルの1つとなるため、「ホームボタン廃止」の噂が出ているのは、これに由来するものともいわれる

  • イヤフォンジャック

イヤフォンジャックの廃止。これで従来型のイヤフォンはそのまま新型iPhoneで利用できなくなるが、Appleでは「Lightningコネクタ型のイヤフォン」のほか、「Lightningから3.5mmイヤフォンジャックへの変換コネクタ」を添付する計画だとKuo氏は指摘する。なお報道によれば、イヤフォンジャック廃止で空いた部分には3D Touchの機能を向上させる新しいセンサーを搭載する予定とのことだ。

  • プロセッサ

新型iPhoneでは新しい「A10」プロセッサが採用される。動作クロックはA9時代の1.85GHzから大きく上昇して2.4~2.45GHzとなることが見込まれるが、バッテリ消費を抑えるために若干クロックダウンされる可能性があるという。同世代のプロセッサの製造を担当するのは長らくSoCの製造を担当していたSamsungからTSMCとなるとのこと。TSMCの10nm製造プロセスがA10に用いられているかは不明だが、前述の大幅なクロックアップを実現しているのであれば、A9世代の14~16nmより微細化が進んでいる可能性が高いとみられる

  • ディスプレイ

9.7インチiPad Pro同様に、より広域なカラーガンマに対応したディスプレイが新型iPhoneでは採用されているという。色調補正を行うTrue Tone技術に対応しているかは不明。また、カメラ内蔵のフラッシュは4つのLED方式(暖色×2、寒色×2)となる見込み。

  • スピーカー

端末を水平に置いた場合、通話時にスピーカーとなる部分が通常のスピーカーと連動してステレオスピーカーとして動作するとの噂。

  • センサー

近接センサーがレーザー技術に変更か。

  • FeliCa

日本市場向けのFeliCaサポートするとの噂が。

いくつかポイントがあるが、まず触れたいのが1つめのカラーバリエーションと2つめのストレージ容量の部分だ。現行で4つとなっているカラーバリエーションがさらに増加して5種類となるのは、より多くのユーザー層にリーチできる反面、これまでAppleが得意としてきた驚異的なまでの在庫管理をより困難なものにする諸刃の剣でもある。おそらく市場でのニーズは特定色に偏る可能性が高いと思われ(今回は特に「ダークブラック」)、事前のリサーチによる生産調整をもってしても後々の在庫管理で苦労することになると予想する。このあたりの状況は年明けくらいのタイミングで改めて検証したい。

現行のiPhoneは4色展開

また従来の慣行に則れば、Appleはストレージ容量が上がっても値段を据え置いてくる。具体的には4.7インチ型iPhoneの32GBモデルでSIMフリー版が「649ドル(税抜き)」、すでに2年縛りでの本体価格を出す携帯キャリアは米国に存在しないが、従来であれば「2年縛りで199ドル(税抜き)」という値段表示になるだろう。これは上位モデルも同様だと思われる。5.5インチ型のPlusについても同様で、4.7インチ型のモデルの価格にSIMフリー版で100ドルが上乗せされた状態だと予想する。また昨年と比較して円高ドル安傾向が進んだため、日本国内価格に改定が加わって若干手頃感のある値付けになるだろう。