MVNOといえば「格安スマホ」という印象で、安さがとにかく売りだったが、最近は値段競争は一段落してきて、サービスなどを売りに個性で生き延びる第二ステージともいうべき段階にきている。同時に、MVNO自身がターゲットにするユーザーの姿も変わってきているようだ。MVNOが拡大を続けていく中で今後どのようなユーザーをターゲットにしているのだろうか。

シェアは急拡大、音声ユーザーが6割を超える

消費者動向を研究するMMD研究所は7月末、「MVNO事業者に聞く2016年上半期の振り返りと下半期の展望」という勉強会を開催した。この中で、2016年4月時点の調査でMVNOの利用率が5.6%となり、2015年4月の2.1%から260%増という大幅な拡大を見せたことを明らかにした。

ソフトバンクのサブブランドであり、準MVNOとも言えるY!mobile(3.3%)と合わせると8.9%のシェアを占めるに至った

MVNO(格安SIM、格安スマホ)に対する認知度も大きく高まってきており、これまでのITリテラシーが高いユーザー層だけでなく、一般層にも認知が拡大している。また年代別でも、これまでの中心だった男性30~40代の割合が減り、代わりに男性20代、女性20~30代の割合が増加している。若年層に対してもMVNOが浸透してきたことがわかる。

MVNOの認知度は約50%に近づいている。通信費に家計が圧迫される中、「格安スマホ」という響きが魅力的なのだろうか?

2016年1月と5月で若年層の割合が大きく伸びている。4月の新年度スタートを契機に乗り換えたユーザーが多いとも考えられる

また、ユーザーの内訳としては女性の比率が高まっており、音声通話付きSIMがデータ専用SIMを上回り、60%超に至ったことも明らかになった。これまでもゲームやLINEの認証などでデータ通信にSMSを付けるユーザーは一定数いたが、音声が主流になってきたというのは、MVNOをサブ回線ではなく、MNOキャリアに変わるメイン回線の選択肢として選ぶユーザーが増えてきたことが指摘できるだろう。大雑把に言えば、MVNO利用率・5.6%に65%をかけると、3.64%のユーザーがMNOキャリアからMVNO回線へと主回線を移行した、といってもいいだろう。

MVNOへのMNPも65%と高い水準になっており、MVNOをメイン回線とするユーザーが増えていることがわかる