MVNO(仮想移動体通信事業者)として今夏をメドに格安通信市場に参入するLINE。「LINEモバイル」という名称でサービス展開する予定だが、同社の市場参入によって、想定されるのが格安通信市場の競争激化である。他のMVNOはLINEの市場参入についてどう見ているのか。

LINEモバイルの武器

5000万以上のユーザーを擁し、抜群の認知度を持つコミュニケーションサービス「LINE」。その運営元であるLINEがMVNO市場に参入する。新たな競合相手がLINEとなれば、200社を超える既存のMVNOにとって大きな脅威となりえる。しかも、LINEモバイルの武器が他のMVNOが欲しがるものなら、なおさらだ。その武器とは"認知度"である。

3月下旬に行われた事業戦略発表イベント「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」でMVNOへの参入を公表

MVNOは"格安通信"という料金メリットを打ち出し、情報感度が高い利用者を獲得してきた。手取り足取りサポートしなくとも、申込みから開通作業まで自分でこなせるような人たちだ。ただし、そうした人たちばかりをターゲットとしたのでは契約者の大幅増加は見込めない。

現状、MVNO各社がメーンターゲットにするのは、サポートの必要な人たちだ。そもそもMVNOとは何なのか、使用中のアプリが使えるのかどうか、即日開通もできるのか、通信品質はどうか、などの不安を抱え、「通信料が安さは魅力だが、手間がかかりそうなら、乗り換えは見送ってもいい」といった人たちである。テレビCMなどにより、格安通信の存在は多くの人に知れ渡ってきたが、それだけでは、こうした層を取り込むのが難しくなっている。そのために、MVNO各社は大手家電量販店での受付やアンテナショップを設置し、対面接客で見込客の不安解消に努めているというわけだ。

では、LINEモバイルが参入したらどうなるのか。認知度の高いLINEにすれば、先述した想定される不安のいくつかは解消しやすい。