授業や仕事において、板書の書き写しからアイディアをメモする、記録を取るなどノートを使う場面は多い。しかし昨今、入力や情報管理のデジタル化、さらには少子化や中国・新興国から安い製品が輸入されるなど、日本の文房具業界をめぐる状況はネガティブな要素が多い。

そんな中、コクヨの主力商品であるキャンパスノートは1975年の誕生から今年で40周年。累計約27億冊を販売したロングラン商品となっているこのノートは、日本はのみならず中国やベトナム、インドで多大な支持を集めている。本稿では、節目の年を迎えたキャンパスノートの「今」、そして文房具市場における強みとは何か探っていきたい。

キャンパスノートの現状

キャンパスノートの現状はどうなのだろうか。コクヨのステーショナリー事業本部クリエイティブプロダクツ事業部ペーパーステーショナリーVUの上田敬人商品企画グループリーダーによると「売り上げは横ばい」だという。

様々な種類のキャンパスノートを手にしながら語るコクヨの上田敬人商品企画グループリーダー

コクヨ調べによると2015年現在のノート市場の販売冊数は約3.3億冊で、そのうちキャンパスノートのシェアは約30%とみている。年間は約1億冊売り上げていることになる。

上田グループリーダーによると、キャンパスノートの一番のボリュームゾーンは中学・高校生とのことで、授業や受験勉強で使い、大学入学後や就職後にも使い続けるというパターンが多いという。また、コクヨでは春の需要期に向けて毎年、学生向けに特別な柄やコラボモデルといったデザインを変えた限定パックを出している。

進化した「第5世代」のノート

キャンパスノートの認知度の高さは誰しも知るところだが、ロングランを可能にしたのは、ユーザーニーズを満たしてきたからにほかならない。40年の歴史は商品開発の積み重ねでもあった。

歴代のキャンパスノート。左端から右に行くにつれ世代が新しくなっている

キャンパスノート40年の歴史の中でノートのデザインや仕様は4回大きく変更されている。1975年に登場した第1世代は、当時主流だった糸でページを綴じるのではなく、糊で綴じることでページがフラットに開く「無線綴じ」を採用した。

1983年に登場した第2世代では、中を見なくとも罫線がわかるよう表紙に罫線を配置し、グラフィカルなロゴに変更した。ビビッドな色使いと縦に配置したロゴでスタイリッシュになった1991年からの第3世代。ノートの背の部分に貼ってある「背クロス」を強化して耐久度を高めるなど、2000年からの第4世代では品質強化に努めた。

そして2011年から現在販売されている第5世代では、背クロスにボールペンで文字が書けて縦に並べた時に見やすくなったのに加え、罫線には短い定規でも線が引きやすく、行数がカウントしやすいよう目印がつけてあり、多彩なノートの使い方が可能になっている。

グラフィカルさと質の良さでユーザーに訴求した第1~第3世代、ノートの低価格化に対抗して付加価値を高めた第4世代、使いやすい機能を詰め込んで他社のノートと差をつけた現在の第5世代。高品質化および機能強化、時代のニーズとともに進化してきたのがキャンパスノートだ。