メジャーアップデートの変更点 アプリ編
改めて述べるまでもなくMicrosoft Edgeは満を持して登場したWindows 10専用のWebブラウザーである。だが、ライバルであるMozilla FirefoxやGoogle Choromeを見ても分かるとおり、Webブラウザーで重要なのは拡張機能だ。Microsoftは当初から他のWebブラウザーと共通する拡張機能をサポートすると説明していたが、現時点では後述する「Redstone(開発コード名)」まで待たなければならない。
確かにMicrosoft Edgeの応答性はよく、新たに再構築したHTMLレンダリングエンジンの効果も十分に発揮して、Webブラウザーとして優秀な部類に含まれるだろう。だが、日常的なツールとして見ると、"かゆいところに手が届かない"のが現状だ。Microsoftとしては、Internet Explorer時代のサードパーティ製アドオン経由の攻撃に晒された記憶があるからこそ慎重にならざるを得ないのかもしれないが、進捗速度の遅さが気になってしまう。
それでもMicrosoft EdgeはWindows 10と共に一歩ずつ進歩している。ビルド10547では、WebRTCに変わるORTC (Object RTC)をサポートし、ビルド10565ではタブのサムネイル機能や、お気に入りおよびリーディングリストの同期機能を実装。ビルド10576では、メディア配信機能やPDFファイルとCortanaの連動機能を備えた。2015年9月に発表したWebM/VP9のサポートは、執筆時点で一時的にペンディングされているものの、内部的な整合性が取れた時点で使用可能になるだろう。
ユニバーサルWindowsアプリはWindows 10とは異なるプロセスで開発が進んでいるため、本稿では割愛するが、標準IM(インスタントメッセンジャー)となる「メッセージング(&Skype)」だけは取り上げたい。
Microsoftは開発中のWindows 10 Mobile向けアプリケーションとしてMessaging Skype Betaを2015年9月にリリースしている。こちらはあくまでもモバイルデバイスに限定し、Windows 10向けには「メッセージング」を別のアプリケーションとして「ストア」からダウンロード可能にした。
機能的には必要最小限しか供えておらず、メッセージ着信時もアクションセンターに反映されないため、しばらくの間はデスクトップ版Skypeを使うことになる。だが、それならWindows 8.x時代のWindowsストアアプリ版Skypeを廃止せず、完成度を高めてからリリースした方がスムーズにユーザーも移行できるのでは、と思うのは筆者だけではないだろう。
ユニバーサルWindowsアプリに限った話ではないが、2015年7月29日以降のWindows 10 Insider Previewも含め、拙速にリリースしてユーザーの混乱を招いている部分が少なくない。もちろん後者は事実上の"人柱"であるため、トラブルが起きるのも致し方ないが、アプリケーションに関しては目的を満たす機能を確実に作り込んでほしいものである。