―― グローバルでは、2018年までに10億台のWindows 10の普及を目指すとしていますが、日本ではどれぐらいの規模を目指しますか。

平野氏「具体的な数字は明らかにできないのですが、既存ユーザーのアップグレードのほかに、新たなデバイスの購入といったことも含まれます。当然、Windows Phoneの数字も加わります。すでに、マウスコンピューターやFREETELからWindows Phoneが登場していますし、多くのデバイスメーカーから相談を受けています。

米国のMicrosoft本社では、LUMIA(スマートフォン事業)に関して構造改革を進めていますが、これは日本のビジネスに影響を及ぼすものではありません。いまは、パートナーと組んで推進していくのが、日本での基本的な考え方です。

本社の発表も、スマホからの撤退宣言ではなく、アプローチを変えるという内容です。そうした戦略の上で、日本に対してどう展開していくかということが、改めて検討されることになると思います。日本の市場において、Windows Phoneが盛り上がることは、私自身、とても期待していますよ」

Windows 10のライセンス形態

―― 今後、Windows 10については、どんな仕掛けを考えていますか。

平野氏「7月29日の提供開始にあわせて、Windows 10 Fan Celebration Eventを開催しました。多くのWindowsファンの方々が訪れ、その熱さに感動しました。私よりも、何十倍もWindowsには詳しいという方々に訪れていただいたと思います。いままでは、発売日に量販店で盛り上げて、購入していただくという流れでしたが、今回のキーメッセージは、いかにお使いいただくかという点に尽きます。買う、買わないという点での仕掛けではありません。まずは使っていただき、その良さを、友人や知人など、横へと広げていただけたら嬉しいですね。

今年秋には、様々なWindows 10デバイスが登場します。ユニークなデバイスもあるでしょう。日本の市場には多くのデバイスメーカーがありますから、これもWindows 10の普及においては大きな強みです。現在の『ぜひ使ってください』というメッセージに加えて、ハードウェアの登場とともに、Windows 10の機能を最大限に生かせるデバイスも訴求していきたいですね。今日からWindows 10をお使いいただくと、その良さを理解していただけますから、きっと新たなデバイスが欲しくなると思いますよ(笑)。

8月1日にはDSP版Windows 10が発売された(写真左)。パッケージ製品およびダウンロード製品は9月4日の発売(写真中央はWindows 10 Home、写真右はWindows 10 Proのパッケージイメージ)

日本マイクロソフトでは、7月29日のイベントだけに留まらず、これからもあの手この手というように、継続的に市場を盛り上げていくつもりです。テレビCMなどを通じたメッセージアウトも行います。量販店などの販売パートナーに対しては、8,000人規模のトレーニングが完了しており、Windows 10の良さを理解していただける環境が整っています。これも重要なポイントです。企業においては、アプリの互換性検証や確認作業を進めていただいていますし、Windows 10を活用した非営利団体に対する支援も行っていきます」

―― 今年秋にデバイスメーカーから新製品が発表されるとき、平野社長が発表会見にゲストで登場したり、あるいはWindows 10を搭載したデバイスの発売日に量販店を訪れるということもありますか。

平野氏「それはあると思います。ぜひ、盛り上げたいですね。実は、7月27日の朝、神田明神(編注:東京都千代田区)に参拝してきました。これはWindowsチームの伝統行事の1つで(笑)、新しいWindowsが出るときには必ず行っています。大安の7月27日を選んで、約15人の社員とともに訪れました。Windows 10によって市場が盛り上がるようにと、祈願してきましたが、これは毎日考えていることですから、とくにこれを選んでお願いしたという内容はないですよ(笑)。とにかく、多くの方々に、Windows 10の良さを理解していただきたいですね」

日本マイクロソフトのWindowsチームでは、神田明神への参拝が伝統行事になっているという

―― これからWindows 10を利用するユーザーに対してひとことお願いします。

平野氏「私からのメッセージは、ぜひ試してください、使ってください、トライしてください、ということになります。Windows 7以降ならWindows 10は無償ですから、手軽にお使いいただけると思いますし、これまで以上に使いやすいOSに仕上がっています。そして、これまでには経験したことがないようなワクワクした使い方でできます(編注:ユニバーサルプラットフォームや今後追加される機能を含めて)。また、安心して利用できるセキュアな環境にも注力しています。みなさんのデジタルコンパニオンとして、ぜひ使っていただきたいですね」