―― 無償提供の仕組みなどを通じて、パートナーからは、Windows 10での収益確保には課題があるとの見方も出ているようですが。

平野氏「パートナー各社が、ITの業界が大きく変化していることを、どれだけ肌で感じているか、ということにもつながるといえます。マイクロソフトの世界であるとか、Windows 10の世界であるとか、そういう話ではなく、業界全体の大きな変化だといえます。

ハードウェアでは収益が確保できなくなり、販売台数も減少し、その一方で、クラウドやモビリティの世界が大きく進展し、アプリやサービスの使い方も大きく変化してきています。多くのパートナーは、この変化を意識しており、変化を捉えています。むしろ、この変化に向けて準備ができていなかったパートナーは、危機感を持っているのではないでしょうか。

そうした潮流のなかで、日本マイクロソフトは、パートナーと一緒に成長するためにビジネスモデルを体系化して、新たな業界構造のなかでも、継続的にビジネスができる仕組みを示してきました。競合他社のなかには、パートナーとのビジネスを縮小するという動きも出ていますが、日本マイクロソフトはむしろ、パートナービジネスこそが大切であると判断しました。

Windows 10の広がり

我々は、変革するパートナーと一緒に仕事をしていきたいと考えています。新たな業界構造のなかで、パートナーが収益を確保できる仕組みというものを、これからも提案していくつもりです。これまではクラウドを軸に新たなビジネスモデルを提案してきましたが、Windows 10はユーザーと直接触れるものです。もっと皮膚感に近い形で、新たな構造への変化、新たなビジネスへの転換が必要であることを、深く理解していただけると思います。

また、デバイスパートナーにも変化が起こっています。Windows 10の提供開始にあわせて、2年前、3年前に発売したPCについても、Windows 10が動作するかどうかをしっかり検証していただきました。無償で提供するという新たなビジネスモデルに対しても、しっかりと追随をいただいています。

Windows 10を搭載したデバイスも、2015年の秋以降はかなり多くの製品がラインアップされることになります。これまでとは違ったアプローチに対して、デバイスメーカーが足並みをそろえて対応していだたいています」