光回線とスマートフォンをセットで契約すると割引になる「光セット割」に注目が集まっている。とはいえ、名前は聞いたことがあるものの、実際にどんな割引サービスなのか詳しくは知らないという人もいるかもしれない。

MMD研究所が16歳以上のスマートフォン利用者、男女2,200人を対象に実施した「光セット割に関する実態調査」では、全体の82.3%が「光セット割を知っている」と答えたが、そのうち65.5%は「サービス内容をよく理解していない」と回答したという。同調査からは、光セット割自体は知っていても、内容はよくわかっていないユーザーが多いことがわかる。

2015年2月にNTT東日本・西日本が「光コラボレーションモデル」(光コラボ)を開始したことで、様々な事業者が同モデルに参入し、光回線サービスやセット割を提供している。そこで本稿では、「光コラボ・光セット割とは何か?」「どのようにお得な割引サービスなのか?」をあらためて解説していきたい。

そもそも「光コラボ」って何?

光コラボレーションモデル(以下、光コラボ)とは、NTT東日本・西日本が「フレッツ光」の光回線を卸売りし、様々な事業者が自社ブランドで光回線サービスを提供できるようにした方式のことだ。これまでフレッツ光を利用したいユーザーは、回線事業者であるNTT東日本または西日本と契約し、加えてインターネットサービスプロバイダ(以下、プロバイダ)とも契約する必要があった。光コラボでは、このプロバイダなどがワンストップで光回線サービスを提供することが可能になり、ユーザーはプロバイダ1社と契約するだけで光回線サービスを利用できる。

プロバイダでは、OCNやBIGLOBE、@niftyなどが有名だが、各社はそれぞれ「OCN光」「ビッグローブ光」「@nifty光」として光コラボを採用した光回線サービスを提供している。また、プロバイダ以外にも、携帯キャリアや格安SIMサービスを提供するMVNOなど、幅広い事業者が光コラボに参入しており、たとえばNTTドコモは「ドコモ光」、ソフトバンクは「SoftBank光」といった光回線サービスを提供している。

ユーザーにとって、光コラボを選択する一番のメリットは、フレッツ光と同品質の光回線サービスを従来よりも安い料金で利用できることだ。また、プロバイダなど事業者1社のみと契約するだけで利用でき、料金の支払い先も1カ所にまとめられることもメリットと言える。一方、事業者にとっては、自社の他サービスと光回線サービスをパッケージ化して提供できることがメリットとなっている。

光コラボに乗り換えるには、回線工事は必要?

光コラボの料金の安さに魅力を感じたとしても、実際に契約する際に気になるのが回線工事の有無だろう。すでに光回線サービスを利用している人であればご存じの通り、自宅に光回線を引くには通常、立ち会いの回線工事が必要になる。工事に立ち会うために仕事を休む必要があったり、工事の順番待ちで開通までに時間がかかるとすれば、面倒に感じて乗り換えをためらう人もいるかもしれない。

しかし、現在フレッツ光を利用しているユーザーが、光コラボに乗り換える場合、契約形態を変更する"転用"という手続きのみで乗り換えが可能だ。転用は回線工事が不要で、もちろん立ち会いの必要もない。光コラボを申し込んでから開通日までは既存のフレッツ光を利用でき、継ぎ目なく光コラボへ移行することができるのだ。

なお、現在フレッツ光を利用しておらず、新規で光回線を引く場合には回線工事が必要になる。また、一旦転用してから他の光回線サービスへ乗り換える"再転用"は不可となっており、その場合は新規契約の扱いとなるので注意しよう。

光コラボとスマホをセットで契約するとお得になる?

このような光コラボの光回線サービスとスマートフォンをセットで契約することで、利用料金が割引されるのが「光セット割」だ。前述のドコモは「ドコモ光パック」というセット割を提供しており、同社のスマートフォンとドコモ光をセットで契約すると、1世帯あたり最大3,200円/月(以下、すべて税別)の割引になる。一方、ソフトバンクも「スマート値引き」というセット割を提供しており、SoftBank光とセットで契約することで、同社のスマートフォンの利用料金が1人あたり最大2,000円/月割引される。

また、格安SIMを提供するMVNO各社も、光コラボと格安SIMのセット割を提供している。格安SIMはキャリアのスマートフォンと比べて通信料が割安であることが特長であり、キャリアからの乗り換えを検討している人も多いだろう。利用したいMVNOがセット割を提供しているのであれば、スマートフォンに加えて光回線も乗り換えることで、固定・モバイルの通信費を大幅に節約することも可能だ。

たとえば、格安SIMサービスの「U-mobile」を提供するU-NEXTでは、光コラボを採用した光回線サービス「U-NEXT光」とのセット割として、「U-NEXT光&スマホ コラボレーション」を提供している。同サービスの「スーパーファミリーバリュー3」(マンション向け)では、LTE使い放題プランの音声SIM3回線と光回線がセットで、2,120円割引の月額10,000円となる。これは、キャリアのスマートフォン2台分以下の料金で、光回線とスマートフォン3台分をまかなえる計算だ。なお、同サービスでは戸建向けや、SIM1回線から5回線までのセット割なども幅広くラインナップしているので、格安SIMに興味がある人はぜひチェックしておきたい。

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本稿では、光コラボと光セット割について解説してきた。現在、フレッツ光を利用している人であれば回線工事不要で乗り換えることができ、料金がお得になるのが光コラボの特長だ。また、スマートフォンとのセット割も各社から提供されており、とりわけ格安SIMサービスとのセット割であれば、家庭の通信費を大幅に節約することもできる。フレッツ光やキャリアのスマートフォンの料金が高いと感じている人は、光コラボや光セット割をぜひ検討してみてはいかがだろうか。