前回は無線ルーターの、据え置きタイプとモバイルタイプの違いについて触れ、「IEEE802.11ac」がオススメだということを紹介した。今回は、なぜオススメするのか、「11ac」について説明しよう。
11acは11nの改良版
最新の無線ルーターやスマートフォンがサポートする「IEEE 802.11ac」は、2012年に正式な規格が策定された最新の無線LAN規格だ。
それまでの主流だった「IEEE802.11n」では最大600Mbpsでの通信を実現していたが、11acではGbpsクラスの速度を実現することが目標におかれた。11acではこの目標を、まったく新しい機能を追加するのではなく、11nにあった機能を整理・改良して導入することで実現しようとしている。
たとえば11nでは2.4GHz帯と5GHz帯の電波を利用していたのに対し、11acでは5GHz帯だけを利用する。2.4GHz帯は電子レンジなど、ほかの機器も含めて非常に混雑している帯域な上に、使えるチャネル数も少ないので、高速化には不向きなのだ。比較的空いている5GHz帯だけを使うことで、効率よく高速化できるわけだ。また、データを電波に置き換える(またはその逆)変調方式の改良や、データを収めるフレームサイズの拡大(多重化)で、一度に送信できるデータ容量が拡大している。
11nと11acの違い | ||
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規格 | 11n | 11ac |
使用する帯域 | 2.4GHz/5GHz | 5GHz |
変調方式 | 64QAM | 256QAM |
チャネルあたりの最大伝送速度 | 150Mbps | 867Mbps |
MIMOストリーム数 | 1から4 | 1から8 |
チャネル幅 | 20から40MHz | 20から160MHz |
最大伝送速度(理論値) | 600Mbps | 6.9Gbps |
一つ一つは小さな改善であっても、トータルでは元の規格の10倍以上の速度を実現している。また、速度だけでなく通信の安定性や電波の利用効率なども大幅に改善しており、限られた資源である電波帯域をよりよく使えるようになるのが11acのメリットなのだ。