既報の通りASUS JAPANは20日、5.5型ディスプレイを搭載したSIMフリースマートフォン「ZenFone 2(ZE551ML)」を日本国内で販売すると発表し、これに合わせて都内で記者発表会を開催した。台湾本社のJonney Shih(ジョニー・シー)会長が登壇し、5月16日に発売する新製品に込められた5つのコンセプトや、デュアルSIM対応、世界初の4GBメモリ搭載による高いパフォーマンスなど、特徴的な機能・性能を披露した。その様子をレポートする。

ベールを脱いだ次世代ZenFone

「ZenFone 2(ZE551ML)(以下、ZenFone 2)」は、2015年年1月にラスベガスで開催された2015 International CESにおいて、発表された製品。5型ディスプレイ搭載の「ZenFone 5の後継機」として注目を集めた。なお、CESでは「ZenFone 2」に加えて、光学3倍ズームのレンズを搭載した「ZenFone Zoom」も発表されたが、今回の国内向け発表会では前者のみのリリースとなった。

ついに国内でも発表の運びとなったSIMフリースマートフォン「ZenFone 2」

先にZenFone 2のスペックを簡単にまとめておく。CPUにIntel Atom Z3580(2.33GHz)を搭載する2モデルとAtom Z3560(1.83GHz)搭載の1モデルの計3モデルを用意。OSはAndroid 5.0を採用する。5.5型ワイド TFTカラータッチスクリーン IPS液晶を採用し、表示解像度は1,920×1,080ドットのフルHD対応だ。バッテリー要領は3,000mAh、駆動時間はWi-Fi通信時で約10.2時間、モバイル通信時で約8.5時間、連続通話時間が約1144分(3G)、連続待受時間が約294時間(3G)/約267時間(LTE)。本体サイズは、W77.2×D3.9~10.9×H152.5mm、質量約170gとなる。

手に持つと歪曲した独特のフォルムがよく分かる。背面中央の音量ボタンは誤操作しそうに感じていたが、実際に持つと意識しなければ意外に触れない

ZenFone 2の基本画面。OSにはAndroid 5.0を採用する

拡大するSIMフリースマートフォンの需要に応える

冒頭、壇上に現れたJonney Shih会長がまず、2015年1~3月の日本市場において、マザーボード、2in1 ノートPC、SIMフリースマートフォン、タブレット、グラフィックスカードの5つの分野でシェア1位を獲得したことを報告した。これは、同社が2015年2月に開催した「TransBook Chi」の発表会で目標として示されたものだったが、あっという間に達成してしまった形だ。

ASUSTeK Computer 会長のJonney Shih氏。相変わらず軽妙な語り口で製品を紹介する

日本市場における、マザーボード、2in1 ノートPC、SIMフリースマートフォン、タブレット、グラフィックスカードという5つのカテゴリーでシェアNo.1を獲得

続いて、2015年5月以降に日本国内でSIMロック解除の義務化が施行されることに触れ、「58%のMVNO SIMカード非ユーザーがSIMフリースマートフォンを使いたい」という、GfKジャパンの消費者調査を紹介。「そのニーズに応える最高の製品を寝る間も惜しんで作り上げた」と述べた。

SIMフリースマートフォン市場が今後拡大する見通しであることを力説

ここでいよいよ「ZenFone 2」をお披露目するかと思いきや、唐突に「禅太郎」の紹介へと移る。禅太郎は「性能怪獣」「千里眼」など、ZenFone 2と同じエッセンスが具現化したという触れ込みのイメージキャラクターだ。そして、スライドでの紹介の後でまさかの禅太郎登場。ZenFone 2を手にしたShih会長と一緒にポーズを決めて、会場を笑いに包んだ。

唐突に会長のお友達「禅太郎」を紹介。仲良くツーショット。同社広報によれば禅太郎は「会長のお友達」。海外では「Zenny」と呼ばれているそうだ

「性能怪獣」と表現されたハイパフォーマンス

笑いを取った後は、いよいよ本命の詳細発表だ。Shih会長は、ZenFone 2には大きく5つのコンセプトが込められていると語る。

ZenFone 2の5つのコンセプト「禅の精神(Beauty of Zen)」「性能怪獣(Performance Monster)」「千里眼(Sharp Vision)」「急速充電(Fast Charging)」「誠心誠意(Best Companion)」

まずは「禅の精神(Beauty of Zen)」。「穏やかな同心円状と繊細で美しいヘアライン」をテーマに、厚さ約3.9mmの極薄エッジや、手のひらにフィットする快適なカーブ、人差し指で自然に押せるボリュームボタンなどを採用。2015年のiFデザイン賞を受賞しながら、5.5型ワイド液晶はフルHD解像度を搭載。機能とデザインの調和を実現したと強調した。

続く「性能怪獣(Performance Monster)」は、64bit対応のIntel Atom Z3580(2.33GHz)などの最新CPUやPowerVR 6430、世界初の64bit 4GB RAM搭載、LTEとIEEE802.11acの高速通信に対応、そしてタッチパネルは60msのタッチレスポンスを実現するなど、ハイスペックさを訴える。

mobileXPRTとWebXPRTのベンチマークテスト。Atom Z3580はCortex-A53やKrait 400と比べて高い性能を持つという

GXFbenchや3DMarkの結果。こちらでもPowerVR 6430は競合のGPUよりも高いパフォーマンスとなった

業界唯一の4GB RAMにより、26個のアプリを同時に開いた時の別アプリへの切り替え速度の比較すると体感速度に歴然とした差が開くという

3つめの「千里眼(Sharp Vision)」は、カメラの高性能さをうたう。「Pixel Master 2.0」技術に対応。「スーパーHDRモード」を搭載し、逆光下でも被写体と背景を自然に映し出す。また、薄暗い場所でも鮮明な撮影を可能にする「ローライトモード」も搭載するほか、140度のパノラマは自撮りにも対応。記念撮影も背景までダイナミックに残せるという。

4つめは「急速充電(Fast Charging)」だ。3000mAhの大容量バッテリーをわずか39分で60%まで充電できる。Shih会長は、60%の充電に掛かる時間は、2915mAhのiPhone 6 Plusでは69分、3100mAhのXperia 23では92分、2800mAhのGalaxy S5では51分と述べ、圧倒的な早さをアピールした。

最後は「誠心誠意(Best Companion)」。これは一見、何のことだか分かりにくいが、主に使い勝手の良いユーザーインタフェースやMVNOパートナー、価格設定等のサービス面を指す。

ユーザーインタフェースでは、従来モデルから引き続き独自の「ZenUI」を搭載するが、ジェスチャー、片手モード、スリープ解除など、より少ない動きで任意の操作が可能な「ZenMotion」、ペアレンタルコントロールに対応する「キッズモード」や、高齢者が視認しやすい「簡単モード」、2つのパスワードを使い分けることで、まったく異なるUIを表示できる「SnapView」といった新たな機能を盛り込む。

また、こちらも前モデルのZenFone 5同様に日本語入力システム「ATOK」の採用など、ユーザーが少しでも使いやすい環境を目指して細かいところまで配慮。MVNOでは、IIJ、geanee mobile、DMM mobile、TNC、NifMo、楽天モバイル、U-Mobile、Y!mobileの8社と提携し、APN設定もプリセットする。

左から応援で駆けつけたインテルの江田麻希子社長、Jonney Shih会長、ASUS JAPANのEmili Lu(エミリー・ルー)社長、Shih会長の友達の禅太郎

価格は「4GB RAM+eMMC 64GB搭載モデル」が50,800円、「4GB RAM+eMMC 32GB搭載モデル」が45,800円、「2GB RAM+eMMC 32GB搭載モデル」が35,800円(いずれも予想実売価格、税別)だ。

このほか、同日発売されるオプション品として、モバイルバッテリーの「ZenPower」が3,950円、専用ケース「View Flip Cover Deluxe」が2,950円(いずれも税抜)と発表。これらのオプション品はタッチ&トライコーナーにも展示していた。

タッチ&トライコーナーに設けられた撮影スペースは、禅のイメージに沿った風情のある展示になっていた

ZenFone 2で撮影したところ。オーソドックスな操作できれいな写真が手軽に撮れる

「オート」「マニュアル」「HDR」「美人エフェクト」などのほか、さまざまな撮影モードを搭載。分かりやすいイメージボタンをタップすることで簡単に切り替えられる

HDRモードの中に逆光補正が用意されており、画面内をタップしてピントを調整すれば、あとは自動で被写体と背景が見やすく撮れた写真に補正される

バックカバーを取り外したところ。4Gと2GのデュアルSIMカードスロットが確認できる

片手操作をOnにしておくと、ホームボタンのダブルタップで操作モードが切り替えられるようになる。縮小したウィンドウの表示位置は変更が可能で、右利きでも左利きでも対応する

スマートフォンに慣れていない高齢者にオススメの簡単モード。使用頻度が高くなりがちなアプリのアイコンが大きく表示される

子供の利用に制限を設けるキッズモード。使用時間や使用アプリなど細かくカスタマイズ可能だ

タッチ&トライコーナーで目を引いた、ZenFone 2のセンサーと連動した3Dゲームが体験できるキット。装着者の頭の向きに併せて宇宙空間の全方位が3Dで見られる

同時発売のアクセサリー。「ASUS ZenPower」。シルバー、ブルー、ピンク、ブラック、ゴールドの5色展開。想定売価は3,950円(税別)

同時発売のアクセサリー。「ZenFone 2(ZE551ML)専用 液晶保護フィルム」。想定売価は780円(税別)