2014年のスマートフォンを漢字一字で言い表すなら、どんな言葉が当てはまるのか。ライターの海上忍氏に、今年を象徴する一字を選んでもらったところ、「融」を選択、同氏にその理由や所感を記してもらった。
日常生活との融合
スマートフォンにとって2014年は、引き続き躍進を遂げた1年だったと言っていい。ここ日本だけ見ても、前年度比20.2ポイント増の49.5%を記録した2012年末のスマートフォン世帯普及率は、2013年末は62.6%とペースこそ落ちたものの増加基調に変わりはない(出典:総務省「通信利用動向調査」)。2014年末の統計資料が発表されるのは来年の6月だが、直近の販売動向を踏まえると、70%を超えるかどうかといった水準だろう。
そこまで普及が進めば、スマートフォンが一種の社会インフラとして見なされても不思議はない。実際、2014年はスマートフォンの所有を前提としたサービスが続々登場した1年だった。画面構成と操作性をスマートフォンに最適化したサイトをオープンする企業は増え、AV機器のようにスマートフォンと連係した機能を売りにする製品も珍しくなくなった。
今年始まった身近なサービスといえば、テレビの「リモート視聴」が挙げられる。次世代放送サービスに関する技術仕様の策定/普及促進を担う団体「次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)」は2月、自宅のビデオレコーダーやテレビで受信した映像をインターネット経由を介して外部から視聴可能にする「リモート視聴」の規格を公開、間もなく対応製品が発売された。対応AV機器そして通信回線さえあれば、どこにいても録画済番組はもちろん生放送さえ視聴できるのだから、スマートフォンがテレビのあり方を変えた、と言っても言いすぎではない。