これからも生活を変えうる存在

そう、これからもスマートフォンは我々の生活を変えうる存在だ。昨年まではAV機器と自動車だった連係対象は、今年に入ってから住宅機器にまで範囲を広げた。いわゆる「スマートハウス」だ。

Googleは今年1月、人工知能を搭載したサーモスタット(自動温度調節器)で知られるNest Labsを買収すると発表。スマートフォンで家庭のエネルギー消費量を監視/管理できる「Google PowerMeter」を2011年に終了、スマートハウス分野は再挑戦という形になるが、32億ドルという巨額の買収費用からはGoogleの意気込みのほどもうかがえる。

競合関係にあるAppleは、6月に開催された開発者会議で「HomeKit」を発表している。家のカギや照明器具、サーモスタットなどをiPhoneから遠隔管理するための開発フレームワークであり、PHILIPSやHoneywellなどのメーカーが対応ハードウェアの製造を表明している。GoogleにせよAppleにせよ製品群を展開するには至っていないが、具体的なビジョンを示したという点で2014年が「スマートハウス元年」としてのちに振り返られることになるのかもしれない。

スマート室温調節器の「Nest Thermostat」

以上を踏まえると、2014年のスマートフォンを表す1字は「融」がふさわしい。スマートフォンと他の機器はただ機能的に連係するだけでなく、互いに依存する要素が増えて融合/融和が進行した。AV機器もクルマも住設機器も、スマートフォンの所有を前提に新機能を用意する方向へと進化している。今後「融」が進みさまざまな要素と反応すれば、新たな可能性も生まれてくるのではないだろうか。