2014年のスマートフォンを漢字一字で言い表すなら、どんな言葉が当てはまるのか。ここでは山田井ユウキ氏に、今年を象徴する一字を選んでもらい、その理由や所感を記してもらった。

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「2014年のスマートフォンを一字で表すとどの文字が当てはまるか」というお題が編集部からやってきた。難しいことを聞くもんだな~と首をひねっているうちに、締切はとっくに過ぎ去り、今に至ってしまった。いや、実際に難しいのである。なぜなら、今年はスマートフォンにおいて、"これ"といったトピックスがなかったように思うからだ。

もちろん、意欲的な機種はあるし、iPhoneだってちゃんと発売された。そういう意味では、2014年は"いつも通り"だった……。

そう、いつも通りなのである。スマートフォンが現在の形で登場してからまだ7年程度のはずだが、すでにガラケー末期のような「もうこれ以上何もないっしょ」という空気感が漂っていたのが今年だったのだ。これはアプリも同じで、すでに定番と呼ばれるようなアプリはひと通り出揃ってしまい、「スマホでこんなことができるのか!」と驚くようなアプリはなかなか出なくなってきている(もちろんゼロではないが……)。ソフト面でもハード面でも、すでにスマホは"やりきった感"がある。

そういう意味で、今年のスマホを一字で表すなら「熟」としたい。もちろん、「成熟」の熟である。

今年、いろいろなスマートフォンを触ってきたが、その中から印象深いものを挙げてみよう。

まずは、iPhone6/6 Plus。やはり外せないiPhoneだが、皆さんもよくご存知の通り、画面が大きくなってデザインが変わり、iOSがバージョンアップした以外にはそれほどの変化は感じられなかった。iOSにしても、大幅に進化したというよりは、iOS 7をさらに煮詰めてきたという印象だ。カメラも手ぶれ補正が付いたり(6 Plusのみ)、タイムラプスなどの新機能が搭載されたりして完成度は高まったが、まぁ想像の範囲内での進歩だった。

スマホ黎明期にはiPhoneに溝を開けられていたAndroidも、ここ数年でグッと使いやすくなり、一時期のような機種の乱立も減ってきて、かなり収斂されてきた気がする。それを象徴するのが、最近出たばかりのNexus 6だ。これまでのAndroidスマートフォンの集大成的な機種が、ついにAndroidの総本山たるGoogleから登場したという事実はけっこう大きいんじゃないかと思う。

Androidの総本山GoogleのNexus 6