2014年のスマートフォンを漢字一字で言い表すなら、どんな言葉が当てはまるのか。ここではライターの松村太郎氏に、今年を象徴する一字を選んでもらい、その理由や所感などを記してもらった。

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2014年のスマホについて「分」という漢字を選んだ。その理由を2つご紹介しよう。

1つ目は、「明暗分かれる」の「分」だ。すなわち、Apple・Samsungの明暗、そして中国勢とSamsungの明暗を表している。Appleや中国勢にとっては躍進の年となり、Samsungにとっては不遇の1年の締めくくりとなりそうだ、という点だ。

Appleにとっての2014年は、2年サイクルで進化を続けるiPhoneのメジャーバージョンアップの年にあたる。Appleがこれまで問題点として指摘されてきた画面サイズにメスを入れ、4.7インチのiPhone 6と5.5インチのiPhone 6 Plusの2機種を投入した。 2014年10月から12月の3カ月間で、世界の出荷は6500万台前後になると予測される。もちろんこれは過去最高の数字だ。画面サイズの拡大に手をつけたAppleは、年明以降も中国でのセールスに期待ができ、継続的な販売拡大が見込まれる。

従来よりも画面サイズの大きなiPhone 6が発売された

一方、Samsungにはつらい年となった。スマートフォン出荷台数は2014年に20%拡大し、OS別で見た場合に、Androidの市場シェアは非常に伸び、ついには82%にまで達したが、これまでAndroidをリードしてきたSamsungは2014年第三四半期、iPhoneの影響が軽微な段階で、シェアを32.1%から24.4%に落とした(ガートナー調べ)。

かわりに上昇したのが中国のHuaweiとXiaomiといった中国企業だ。特にXiaomiは急成長しており、ほぼ原価に近い価格で販売する競争を仕掛けつつ、クオリティの高い端末作りにもこだわり、Samsungからシェアを奪う原動力となっている。

ちなみに日本市場は縮小しており、ソニーやシャープといった残された国内デバイスメーカーにとっては厳しい市場環境が続くことになるだろう。