SSDが、PCの体感上の速度に大きく貢献することは、いまや多くの人の知るところだ。そのSSDに、新たなインタフェース「M.2」が登場した。すでに最新のSATA SSDは最大転送速度が500MB/secを超え、6GbpsというSATAの帯域理論値に迫っており、次世代のインタフェースに対するニーズが高まっていた。

M.2インタフェースのSSDも、これをサポートするIntel 9シリーズチップセット搭載マザーボードの登場に合わせて各種製品がリリースされ、そして現在も続々と新製品が登場している。今回は、新製品というわけではないが、PlextorのM6世代のSSD、M.2インタフェースの「M6e」と、SATA 3.0インタフェースの「M6S」を用い、このインタフェースが異なる製品の特徴を確認していきたい。

トラディショナルなSATAは現在SATA 3.0で速度は6Gbps

ストレージ向けのインタフェースは、IDE→EIDE→Ultra ATA→Serial ATA(SATA)と進化してきた。現在、主流と言えるのがSATA。現在のチップセットでサポートされているものはSATA 3.0で転送速度は理論値で6Gbpsとなる。また、下位のチップセットを搭載する製品などを中心に、旧規格となるSATA 2.6など3GbpsのSATAポートを搭載している製品もある。

SATA 3.0対応のSSDをSATA 2.6以前のポートに接続した場合、ポート側の帯域に縛られ速度が落ちるため、SATA 3.0対応ストレージは、SATA 3.0ポートに接続することが望ましい。

SATAポートとSATA SSDの接続例

HDDに関してはまだ転送速度的にSATA 2.6でも十分なのだが、インタフェースとしてはSATA 3.0対応が主流となっている。そして、SATA 2.6から3.0への移行に伴い、コマンド関連でも最適化が進んでいるために、転送速度的にはSATA 2.6で十分に間に合うHDDに関しても、SATA 3.0に対応している製品ではSATA 3.0で接続した方が高速という場合が多い。

M.2は内部的にPCI Express接続を利用可能で速度は10Gbps~32Gbps

これに対し、M.2はIntel 9シリーズマザーボードから対応し始めたインタフェースだ。M.2では接続にSATAのようなポートではなく、スロット形状を採用する。そして、製品は基板がむき出しの板状であることが一般的だ。このことからも分かるとおり、本来は、成長著しいモバイルノートなどに向け、ストレージの実装面積を小型化する目的で規格されたものだ。当初はIntelがNGFFという名称で開発を始めたものだが、PCI-SIGでの規格化に伴い、M.2という名称に落ち着いた。

M.2スロットとM.2 SSDの装着例

M.2スロットの拡大写真。mSATAと同様に、斜めからスロットにカードを差し込み、カードを倒した後にネジで固定する

どちらかと言えばモバイルにおいてメリットが大きな規格だが、デスクトップでもメリットがある。それは転送速度だ。これまではIDE→SATAというように、内部ストレージは内部ストレージ専用のインタフェースで接続してきた。これに対し、M.2ではストレージの接続インタフェースとして汎用のPCI Expressを採用している。

SATA 3.0の転送速度は前述の通り6Gbpsだが、M.2の場合はPCI Express接続となり、一般的なPCI Express 2.0 x2接続の場合で10Gbpsの転送速度となり、SATA 3.0よりも4Gbpsほど高速ということになる。また、ASRockが一部のマザーボードで採用する"Ultra M.2"のように、PCI Express 3.0 x4接続に対応するものもある。この場合、インタフェース側の転送速度は最大32Gbpsとなる。

このように接続幅に関してはx2またはx4という具合に制限があるが、PCI Express 2.0や3.0といった部分は、基本的にマザーボード側の設計、そしてPCI Expressの規格に依存するというわけだ。