M.2はPCI ExpressだけでなくSATAやUSB信号も扱える汎用インタフェース

PCI Expressの信号を利用していることから想像のつく通り、M.2は従来のPCI Express Mini Cardを置き換えることもできる。実際、モバイル製品では無線LANカードなどがM.2に置き換わりつつある。そして、M.2はPCI Express信号とともに、SATA信号やUSBの信号を通すことも可能だ。

そのため、現在市販されているM.2 SSDの中にも、内部インタフェースがPCI ExpressのものとSATAのものが入り乱れている。SATA接続のM.2 SSDは当然、SATAの帯域に制限されてPCI Express接続ほど速度が出ないので注意が必要だ。

M.2に関する注意点として、カードの長さという要素もある。M.2対応のマザーボードを見ると、M.2用のカードエッジコネクタの横に、いくつかネジ穴が確認できるが、これは、M.2カードに、2230、2242、2260、2280、22110と5つの長さのモジュールサイズがあるためだ(ほか、3030サイズもある)。

上がM.2 2280、下がM.2 2242。ずいぶんと長さが違うことがわかるだろう

M.2対応マザーボードはASRock製品のように、22系を30~110までフルサポートする例外もあるが、現在のところ2242/60/80といったあたりをサポートしているマザーボードが多い。

マザーボード上のM.2スロットには、各種サイズ規格に合わせた固定穴が用意されており、穴の位置変更用ネジ、固定用ネジの2つで対応する

このように、M.2 SSDを用いる場合は、まず接続がPCI ExpressかSATAかというインタフェース面、そしてモジュールサイズという2点に注意しなければならない。ただ、デスクトップ用途のモジュールサイズでは、いまのところ2280がスタンダードになりつつある。もちろん、2242や2260/22110といった製品も市場に投入されており、トレンドが変わってくる可能性はあるが、ここ1年のデスクトップ向け用途なら2280で構わないだろう。

M.2のポート接続版「SATA Express」も間もなくやってくる

このように、SATAに対し、M.2という新たなストレージインタフェースが追加されたわけだが、さらにIntel 9シリーズマザーボードでは「SATA Express」と呼ぶもうひとつの最新ストレージインタフェースを搭載しているものもある。

こちらは対応するストレージ機器が登場していないため、実際に活用されるのはもう少し先になる。規格名にExpressとあるように信号に関してはPCI Expressが利用でき、SATAとも互換性を持つ。スロット形状のM.2に対し、ポート形状のSATA Express、と捉えればよいだろう。実際のポート形状は、SATAポート×2基に新たなコネクタ1基という3つのポートをまとめた横長の形状だ。

グレー側のSATAポートの下側に、SATAとは異なるポートが1つある。横並びの2つのSATAポートとこの特殊なポートの3つのポートをまとめて、SATA Expressとして利用する

PlextorのPX-G256M6eとPX-256M6Sをチェック

さて、今回試すPlextorの「M6e」「M6S」SSDについて紹介しよう。M6eは、Intel 9シリーズマザーボードのローンチとほぼ同時にリリースされた第1世代のM.2 SSDだ。内部インタフェースはPCI Express 2.0 x2であり、現在の一般的なIntel 9シリーズマザーボードのスロット帯域に合わせている。サイズはM.2 2280となり、よほど特殊なマザーボード(モバイルベースの製品やMini-ITXマザーボードなど)でない限り、固定穴側も対応している。

今回用いるM6eは、128/256/512GBというラインナップのなかの256GBモデル「PX-G256M6e」だ。コントローラチップはPCI Express接続用のMarvell「88SS9183」。NANDチップは東芝の第2世代19nm製品A19「TH58TEG8DDJBA8C」。キャッシュは512MBとされる。

M.2 SSDのPX-G256M6e。シールの下にはNANDチップおよびキャッシュメモリが搭載されている

コントローラチップは裏面のコネクタ側に搭載されたMarvell「88SS9183」

もうひとつのM6Sは、M6シリーズの最新ミドルレンジモデルとなる。SATA 3.0インタフェースに対応した2.5インチサイズ、7mm厚のSSDである。

今回用いるM6Sは、128/256/512GBというラインナップのなかの256GBモデル「PX-256M6S」である。コントローラチップは、こちらはSATA接続用のMarvell「88SS9188」。NANDチップはPX-G256M6eと同じ東芝のA19世代。キャッシュは256MBとされる。キャッシュ容量がPX-G256M6eよりも少ないが、これはコストパフォーマンス重視のモデルであるためだ。

SATA 3.0 SSDのPX-256M6S。2.5インチフォームファクタで7mm厚

後部にSATA 3.0インターフェースとSATA電源端子を備えている

なお、どちらのモデルにも共通する点として、Marvellのコントローラは、容量の大きなモデルの方が転送速度も速い。つまり、基本的に128GBモデルよりも256GBモデル、256GBモデルよりも512GBモデルの方が高速だ。そして、M6eに関しては、容量によってキャッシュのサイズが異なる。128GBモデルでは256MB、256GBモデルでは512MB、512GBモデルでは1GBといった具合だ。