「掃除をなくす、掃除機を開発したい」

これは、シャープが現在取り組んでいる掃除機事業の基本姿勢だ。

シャープ 健康・環境システム事業本部・阪本実雄副本部長は、「嫌いな家事のひとつに必ずあがるのが掃除。それならば、掃除をするという意識を持たずに掃除できる掃除機があればいい。掃除をしていないのにいつも家がきれい。それがシャープが目指す掃除のスタイルだ」と語る。

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シャープが発売したFREED「EC-SX200」

シャープ 健康・環境システム事業本部・阪本実雄副本部長

ロボット家電「COCOROBO」は、その最たる例だろう。自分が掃除をしなくても、COCOROBOが自動で掃除をしてくれるのは、嫌いな掃除をしないで済むための提案のひとつだ。

COCOROBOもコードレス掃除機のカテゴリーに含めれば、シャープが投入するコードレス掃除機の製品群のすべてが、嫌いな掃除をしないで済むという発想から製品化されたものだといってよさそうだ。

ちょっとした合間にコードレス掃除機で掃除をするといった使い方ができれば、掃除をするという意識を持たなくても手軽に掃除ができる。

シャープ 健康・環境システム事業本部ランドリーシステム事業部国内商品企画部・奥田哲也副参事は、「いま一家に複数台の掃除機があるというケースも少なくない。いつも家の片隅に置いてあり、サッと掴んで掃除ができる。一番使ってもらえる掃除機のスタイルとは何かを考え、そこを目指した」と、スティック型コードレス掃除機「FREED」の製品開発のコンセプトを語る。

掃除機に求められる要素が変化

業界団体の日本電機工業会(JEMA)の調べによると、国内の掃除機市場は、ここ数年ほぼ横ばいの状況で推移している。だが、これは同協会に参加するメーカーによる自主統計。ロボット掃除機やふとん用掃除機、あるいは吸引力を売り物にする外資系メーカー各社の製品は含まれていない。

現在、シャープのコードレス掃除機はCOCOROBO、FREED、EC-DX100の3兄弟

シャープ 健康・環境システム事業本部ランドリーシステム事業部国内商品企画部・奥田哲也副参事

シャープの調べによると、外資系メーカーを含むコードレス掃除機の市場動向は、急速な勢いで拡大しており、2012年度には61万2,000万台だった市場は、2014年には114万5,000台とほぼ倍増になると予測している。なかでも、スティックタイプなどは、2012年度には31万2,000台であったものが、2014年度には80万台に拡大。高い成長率を維持すると見られている。

こうした動きは、有職主婦の増加、高齢化社会の到来、単身世帯が最大世帯数になるなど、日本の社会環境が変化するのに合わせて、掃除機に求められる要素が変化している点が見逃せない。

従来の主要ユーザーはファミリー層であったが、増加しているのは高齢家庭や有職シングル。これまでは、「細かなホコリまでしっかり掃除がしたい」「夜でも周囲を気にせず掃除がしたい」「キレイな排気で快適に掃除がしたい」というニーズが強かったが、ここにきて、「もっと楽に掃除がしたい」「気づいたときにサッと掃除をしたい」「掃除に時間をかけたくない」といったニーズが増加している。

さらに昨今では、掃除機の使用時において「電源プラグの抜き差しが面倒」「本体が重たい」「コードを引き出すのが面倒」といったマイナス面を指摘する声が増加。これらはコードレス掃除機によって解決できる要素だともいえる。

「掃除機の使いやすさを追求すると、行き着くところはコードレスになる」と、シャープ 健康・環境システム事業本部ランドリーシステム事業部国内商品企画部・奥田哲也副参事は語る。