そして3点目は、あんな場所も、こんな場所も、自由自在に掃除ができる点だ。
グリップ部は、多くの人が使いやすいラウンドハンドルを採用。高い場所や低いところを掃除する際にも、グリップ位置を自由に握って操作することができる。同様に背の高い人も、小柄な人も使いやすい位置を握って利用することができる。
本体の軽量化を実現したことで、掃除機本体を持ち上げて利用するといったことも簡単にできるのもFREEDの特徴。「どんな持ち方をしても、重点バランスが最適化するように、モーターやバッテリーの配置にも工夫を凝らしている」(奥田副参事)という。シミュレーションだけでは微妙な差がわかりにくいため、モックアップを作り、実際にそれを手に持って改善を加えていったという。
また、上に向けて掃除をしているときに、誤ってバッテリーのリリースボタンを押しても、バッテリーが落ちてこないという安全機能もシャープならではのこだわりだ。
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【左】FREEDで採用した小型SRモーター。約60%の軽量化を図っているという 【中】最大の特徴はモーターのサイズに基盤のサイズをあわせたこと 【右】3Dフィンと呼ぶモーターの羽根の形状も高い吸い込み量を実現するための重要な要素。全体の素材を樹脂化した |
さらにヘッドについても、「新開発のモーターに最適化した吸い込み口と、ゴムと毛ブラシの組み合わせによる新たなヘッドを開発した」(太田係長)という。壁際のゴミもしっかりと吸い取る構造を採用している。
最後の特徴が、お手入れも、ゴミ捨ても簡単できれいに行えるという点だ。ゴミカップは本体から外して、ワンタッチで捨てるだけ。フィルターの目詰まりの手入れも、つまりを回すだけで行える構造としている。カップも、フィルターもまるごとの水洗いが可能だ。
ゴミを溜めるサイクロン部の大きさは直径80cmとしているか、これは同社の第1号サイクロン掃除機である「EC-AC1」と同じサイズだ。「今回の製品でも様々なサイズを検討したが、結果として第1号製品で採用したサイズを採用した」という。
直径80cmという大きさは、取り外す際に女性が握りやすい大きさであり、それでいて掃除の際に内部に手が入るという点で最適な大きさだったという。これもシャープのこだわりの技術のひとつだといえる。
シャープがFREEDで目指したのは、掃除を意識することなく、サッと使ってもらう掃除機だ。奥田副参事は、「コードレスというと2台目の掃除機という捉えられるケースもあるが、FREEDは、家庭のなかで、最も使ってもらえる掃除機を目指した」と改めて語る。
また、太田係長も、「いつでも、どこでも、誰でもが簡単に使える掃除機として開発したのがFREED」と前置きし、「子供が自分でこぼしたお菓子を、自分で掃除をするといった使い方にも期待したい」と語る。
FREEDは、新たな掃除の提案を行い、「掃除をする」という概念を無くすきっかけを生むことを目指した、挑戦的な製品だといえそうだ。