事前に噂されていた機能が発表された例としては、健康管理方面での新機能が挙げられる。しかし、噂が流れていたぶんサプライズ感に欠けたアプリ「Health」より、開発フレームワーク「HealthKit」に注目すべきだろう。
AppleはiPhone 5s以降のiPhone/iPadにモーション処理用コプロセッサ「M7」を搭載し、歩数などの情報を取得しやすくしているが、ヘルスケアを前面に押し出すほどアプリ開発のフォローはしていなかった。HealthKitの投入により、今後はサードパーティー製アプリはもちろん医療機関との連携例も(法制面が異なる日本はともかく)増えていくことだろう。
事前の噂といえば、「スマートホーム」機能が投入されるのではというものもあったが、やはり基調講演ではHomeKitフレームワークが発表された。共通のプロトコルを定めることで照明などを遠隔操作するというものだが、こちらは新味に乏しい印象を受けた。Appleがこれまで積極的にアプローチしてこなかった(白物)家電に近い技術ということもあり、本格展開には他企業の協力が必要なのかもしれない。
そしてなにより、新しいプログラミング言語「Swift」だ。「Objective-C without the C」という簡潔な表現で紹介されていたこの言語は、説明を受け売りすると"CとObjective-Cのいいとこ取り"であり、Cocoa/Cocoa Touchフレームワークを利用した開発に最適とされる。
この発表はメインの開発ツールの変更を意味するため(かつてのCocoa-Javaブリッジを覚えている開発者も多いはず)、アプリ開発者は否応なくSwiftを習得しなければならないが、Xcodeのデモを見るかぎり期待できそう。早速iBook Storeでは「The Swift Programming Language」が無償公開されているため、興味がある向きは急ぎダウンロードしてほしい。