「WWDC 2014」のキーノートスピーチ。iPhone 6を初めとした新デバイスの発表はなく、新OSの「iOS 8」もマイナーチェンジにとどまったと見えてか、一般ユーザー反応はマチマチだ。では、日々、携帯電話関連のニュースに携わるライターの目にはどのように映ったのだろうか。iOS 8の話題を中心に海上忍氏に所感を記してもらった。

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今回のWWDC基調講演は、いい意味で「通好み」だったように思う。受付開始から2分でチケットが完売したWWDC 2013の反省もあってか今年は抽選制となり、出席者に占める"常連さん"の割合は減ったが、内容そのものはApple製品に通じるデベロッパーが納得しうるものだった。

チケットが抽選制となった今年のWWDCは、70%が初めての参加者だという

発表内容を総括してみよう。基調講演でアナウンスされた新プロダクトは、大きく分けるとOS Xの次バージョン「Yosemite」、iOSの次バージョン「iOS 8」、そして新しいプログラミング言語「Swift」、この3つだ。ハードウェアの発表はなく、噂されていた「iWatch」のみならず、次のiPhoneやMacの新モデルについての言及すらなかった。もちろん、Jobs CEO時代の定番フレーズ「One more thing」もない。

iOS 8は2014年秋にリリースされる予定だ

これは、6月のタイミングで発表する新製品が存在しなかっただけかもしれないが、開発者会議という本来の趣旨に立ち返ったという評価もできる。いずれにせよ、基調講演の内容は明らかにソフトウェア寄り/開発者目線で、「OS X」と「iOS」という2つのプラットフォームにターゲットしたものだ。

とどめは、後述する新開発言語「Swift」だ。紹介に割かれた時間はわずかだったが、Objective-CおよびC言語に代わりこれからのOS X/iOSをけん引する存在であり、なにより開発者にとっての最重要関心事である。このSwiftを紹介した瞬間が、今年のWWDC基調講演におけるクライマックスだったと考えるが、いかがだろうか。