一般ユーザー、開発者向けの注目機能

iOSの次バージョンは「8」、公開時期が今秋ということもあわせ既定路線といえる。対応ハードウェアはiPhoneが4S以降、iPod touchは(2012年10月発売の)第5世代以降、iPadは2以降に発売された機種であり、SoCにApple A5以降を搭載したモデルと言い換えることもできる。AppleはOSレベルでデュアルコア/メニーコアCPUへの最適化を進めており、こちらもある程度予想できた部分だ。

iOS 8をサポートするiOSデバイスは、Apple A5以降のSoCを積む機種に限定される

一般ユーザと開発者の双方にアピールする新機能としては、「Extensibility」が挙げられる。これまでiOSアプリ間の連携は、URLスキームを使いわずかなデータを受け渡す程度しか実現できなかったが、これからは写真などのデータも扱えるようになる。iOSに付属の「写真」アプリからサードパーティー製フォトレタッチアプリを起動し、作業を終えたら「写真」アプリに戻る、という説明からしてもその位置付けがわかる。OpenGLのオーバーヘッドを解消し3Dグラフィックの描画効率を大幅にアップさせる「MetalKit」、カジュアルゲームの開発に役立ちそうな「SpriteKit」も、一般ユーザと開発者の双方にアピールするという意味で注目したい。

iOS 8では新機能「Extensibility」のサポートにより、アプリ間の連携が大幅に強化される

3Dの描画効率を大幅にアップさせるフレームワーク「MetalKit」の導入により、緻密なグラフィックも軽々と描画できる

一般ユーザ向けの新機能では、サードパーティー製ソフトウェアキーボードのサポートが特に目を引いた。ほかにも、指紋認証機能「Touch ID」のサードパーティーへの開放、バナーからメッセージの送信が可能になるなど通知機能/通知センターの強化、よく使う連絡先を表示できるなどマルチタスキング画面の改良、Shazamによる楽曲認識とストリーミングボイス認識をサポートした「Siri」、MacとiOSでワイヤレス経由で文書をやり取りできるようになった「Air Drop」も、iOS 8の重要な新機能だ。

通知センターにはインタラクティブ性が追加され、メッセージの送信などが可能になった

iCloudを強化したクラウドストレージサービス「iCloud Drive」が投入され、OS X YosemiteやWindowsマシンとの文書の同期が容易になる