米Appleが決済サービスへの参入を目指しているという。同社はすでにiTunesという形でコンテンツ販売を中心に決済サービスを一般ユーザーに向けて提供しているが、このインフラを他社にも開放し、コンテンツ販売だけでなく各種サービスや商品販売も可能にし、その決済をiPhoneやiPad等の端末を使って行えるようにするのが狙いのようだ。米Wall Street Journalが1月24日(現地時間)に報じている

WSJによれば、情報筋の話として、Appleがコンテンツ以外の商品やサービス販売における支払いを同社製デバイスを通して処理することに興味を示しており、同社サービス部門トップのEddy Cue氏やCEOのTim Cook氏が業界幹部らと会合を行っていることを紹介している。また同社がペイメントサービス参入に興味を持っているほかの兆候として、それまで長らくiTunes Online Storeを管轄してきたJennifer Bailey氏が最近になり、同社内でペイメント事業を立ち上げるための新しい役職を与えられたことを挙げている。

なお情報筋によれば、Bailey氏が同職に就任する前に少なくともペイメント業界で著名な5人の幹部への接触を行っていたのだという。つまり、Appleがペイメントサービス参入に向けた動きを活発化させていることが今回の報道の根拠だというのだ。

スケールダウンが否めない理由

筆者の分析だが、今回の噂は流れとして順当な面がある一方で、周囲が期待値を上げすぎており、実際にAppleが参入発表という段になって予想よりもスケールダウンという印象を抱かせる可能性があると考えている。

まず大前提として、AppleはiPhoneやiPadといった自社のiOSデバイスのユーザーに加え、iTunesを通して数億ユーザーものクレジットカード(もしくは支払い情報)を抱えており、これがすでに他の小売店をはるかに凌駕する決済情報として機能する可能性を持っている。現在は自社のコンテンツ販売だけでなく、App Storeを通して第三者らに決済代行として料金徴収サービスを提供しているが、それでもなおオンラインコンテンツ限定であり、これを店舗での商品販売や、タクシー配車業者への支払いなど、より広い範囲で活用していくというのは重要な話だ。おそらくは、今回のペイメント事業参入の第1弾もこの部分が中心となるだろう。位置付け的には現行のPayPalや、一時期のGoogle Wallet (Checkout)に近い。