説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「ルータを買い換えればiPhoneの無線LANが速くなる?」という質問に答えます。

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昨年あたりから、無線LANの次世代規格「IEEE 802.11ac」(以下、11ac)に対応した通信機器が登場し始めました。2013年8月現在この規格はドラフト版で正式に標準化されてはいませんが、今後内容が大幅に変更される可能性は低く、変更されたとしてもファームウェアの更新で対応できるレベルと考えられます。

将来発売されるiPhoneも11acに対応する可能性大ですが、本稿執筆時点で最新機種のiPhone 5は11acに対応していません。だから11ac対応のルータ/無線ベースステーションを購入しても、11acのスピード(理論値は最高6.9Gbps)にはならず、最新機種だとしても「IEEE 802.11n」(以下、11n)での接続になります。

なお、11nでは「MIMO」(Multi-Input Multi-Output)という多重通信技術があり、この技術に対応した機器間はより高速に通信できます。MIMOは1組の送受信機で1つのストリームを構成し、11nでは最大3つのストリームを利用できるため、個人向け製品では最高450Mbps(理論値)で通信可能です。しかし、iPhone 5が対応するストリームは1組のため、理論上の最高速度は150Mbpsです。

将来を考えると11ac対応製品を選ぶべきですが、もう1つチェックポイントがあります。それは、5GHz帯の11nをサポートしていること。5GHz帯は2.4GHz帯に比べて電波干渉が少なく、より高い通信速度を出せるからです。2.4GHz帯しか利用できないルータから2.4GHz/5GHzのデュアルバンドに対応したルータへ買い換えると、iPhone 5ならば高速化の余地があります(iPhone 4/4Sは5GHz帯に未対応)。

写真で解説

5GHz帯のIEEE 802.11ac/a/nと、2.4GHz帯のIEEE 802.11b/g/nに対応する無線LANルータ「AtermWF800HP」