5月16日から2日間の日程で開催された「富士通フォーラム 2013」。会場となった東京国際フォーラムには、最先端のテクノロジーからICTイノベーションを実現するICTソリューションの展示はもちろん、80を超える個別セッションが開催された。

ここでは、サーバ仮想化が抱える課題とともに、仮想化環境に必要な基盤にフォーカスしたセッション「仮想環境で複雑化するストレージ運用の大幅な効率化 ~かんたん導入・運用を追求した先進ストレージ~」の内容を紹介しよう。

富士通フォーラム 2013 レポート

「富士通フォーラム 2013」のレポートを以下にも掲載しております。併せてご覧ください。

イノベーションを加速させるには
効率的なモダナイゼーションが必要

富士通は、人に優しい豊かな社会を実現する「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」というビジョンを掲げている。これはICT(Information and Communication Technology)を活用し、社会が抱える問題解決や産業の新たな成長戦略の立案、さらに人と人をつなげる共創の場づくりなどを実現する取り組みだ。

ICT技術が進化するにつれ、ビジネス環境におけるICTの役割も大きく変化している。振り返れば、古くはメインフレームを中心とした「コンピュータ・セントリック」であり、生産性の向上がICTの使命だった。その後、ネットワーク・インフラが整備されると、ビジネスプロセスの変革がICTの目指すものとなった。

そして現在、ICTの活用範囲は大幅に拡大し、人々の生活をイノベーションする"原動力"となっている。ICTは重要な社会基盤であり、万人の生活に不可欠なものであるのは言うまでもない。

「ヒューマンセントリック」を実現するために富士通は、「人が活動する場でのイノベーションの実現」「ビジネス・社会の情報装備」「End-to-Endで全体を最適化」という3つのアクションを実行している。中でもICTの現場に携わる管理者にとって関係が深いのは「End-to-Endで全体を最適化」だろう。

今回のセミナーでは、同アクションを実現するための効率的なモダナイゼーションと、それを実現するための仮想化総合基盤について語られた。

富士通 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 シニアディレクターの荒木純隆氏

セミナーを担当した富士通でプラットフォーム技術本部プロダクトソリューション技術統括部シニアディレクターを務める荒木純隆氏は、「モダナイゼーションで重要なのは、既存ICT資産の維持運営コストを削減し、変革・成長への投資を強化することだ」と力説する。

しかし日本は既存ICT資産の領域が多く、これらの維持運営にコストがかさんでいるのが現状だ。米国ガートナーが2012年12月に公開した「IT Key Metrics Data 2013:Key Industry Measures:Cross Industry Analysis:Multiyear」によると、ICT維持運営費用が企業ICT支出に占める比率は、世界平均が65%であるのに対し、日本は78%だったという。

こうしたコストの比率を見直し、効率的にICTインフラのモダナイゼーションを実現する技術として注目されているのが、仮想化である。事実、国内サーバ市場における仮想サーバの比率は、2010年には50%だったものが、2013年は73%になると予測されている。

とはいえ単なるサーバ仮想化には課題もある。仮想化によってハードウエアは圧縮できるが、運用管理が複雑になり、結果的に運用管理コストが増加するケースも少なくない。

実際、ユーザーはプライベート・クラウドに対し、ハードウエア/ソフトウェアコストの削減はもちろん、運用管理コストの削減や運用管理の負荷軽減を期待している。つまり、導入/運用を含めたトータルコストの削減を期待しているのだ。

そうした状況で検討すべきは、「どのような仮想化統合基盤を構築するか」である。荒木氏は、「サイロ型の仮想化システムを解消し、全体最適化を実現できる仮想基盤が必要だ」と語る。サーバ、ストレージ、ネットワークといったICTのインフラを統合し、その基盤上でさまざまな業務システムを運用するといった手法だ。

「すでに大手顧客はこうしたシステムを構築している。全社共有の仮想化統合基盤導入により、全社視点による効率のよいICTインフラ投資や、ICTガバナンスの強化が実現できる」(荒木氏)