ソニーは5月22日、2013年度の経営方針説明会を開催。代表執行役兼取締役CEOの平井一夫社長が登壇し、経営再建の施策を説明した。

ソニー代表執行役兼取締役CEO・平井一夫社長

説明会の冒頭で平井社長は、現状認識を行うために2012年の社長就任以降の1年をかけて「自ら現場を回って従業員と意見交換をしてきた」と述べた。また、取引先や消費者からを含めて広くヒアリングを行うことで、「ソニーが持つ将来の可能性を感じ取れたのが大きな収穫」だったという。

その自ら集めた意見を基に「ソニー製品を買うとき、お客様がどこに価値を見出すのかを考えてきた」と平井社長は語り、「ソニーが提供する製品は、単なる機能価値を持つだけではなく、心を動かす"感性価値"を持っているものでなくてはならない」と、ソニーが目指すべき方向性を強調した。

社長に就任して1年間、現場の従業員と意見交換を行い、ソニーの潜在力を感じたと平井社長は語る

ソニー製品には、心を動かす「感性価値」が必要だという

次に、最終損益(当期純損益)が2011年度の4,567億円の赤字から430億円の黒字に回復した2012年度の連結業績を振り返った。「グループ全体での黒字化は達成したが、公約したエレクトロニクス事業の黒字化は達成できなかった」と語り、映画・音楽などのエンタテインメント事業や、金融事業の好調な業績に引っ張られる形での黒字化であったことを説明。

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事業全体としては1,344億円の営業損失を計上したエレクトロニクス事業だが、2012年度は「事業の方向性を定める」「新体制の構築」「意思決定と実行のスピードを上げる」という3つの経営改善テーマに取り組んだという。事業投資としては、新規事業創出やコア事業強化のために、2012年度はいくつもの戦略的投資を行ったことを強調。オリンパスとの資本・業務提携やソネットエンタテインメントの完全子会社化などの事例を紹介した。

また、懸案のテレビ事業の再建に関しても平井社長は「台数を追うのではなく、高付加価値化を図る」ことで収益性の改善に努めたことを説明。実際に、2011年度は8,404億円の売上に対して2,075億円の営業損失を計上していたところ、2012年度は売上5,815億円、営業損失696億円となり、「赤字額を半分(以下)に圧縮した」とテレビ事業再建への道筋に一定の目処が立ったことを強調した。

2011年度と2012年度の連結業績

2012年度はエンタテインメント事業や金融事業の好調さに支えられ、連結業績は黒字を計上した

2012年度の主な投資案件

テレビ事業の赤字を大幅に圧縮した

2012年度の取り組みで好調だったものとしては、スマートフォンなどのモバイル事業とカメラ事業を挙げる。特に2013年1月に発表したスマートフォン「Xperia Z」に関しては、2012年度の経営方針説明会で平井社長が掲げた「One Sony」のスローガン通り、全社横断的な取り組みが成功した製品であると説明。ソニーが得意とする薄型化技術や無線技術、「モバイルブラビアエンジン2」など、ソニーが持つ技術がふんだんに盛り込まれている点をもって、「"One Sony"を象徴する製品だ」と語った。また、2012年9月に発表した「サイバーショット DSC-RX1」に関しても、「世界初となる35mmフルサイズセンサーを搭載するコンパクトデジタルカメラとして高い評価を受けた」と語り、デジカメ市場で「高付加価値モデルとしての先鞭を付けることができた」と意義を説明した。

2012年度に成功した取り組みとして「Xperia Z」や「サイバーショット DSC-RX1」を紹介

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