NECおよびNECアクセステクニカは27日、無線LAN(Wi-Fi)の最新規格「IEEE802.11ac」(Draft版)に対応したWi-Fiホームルータ「AtermWG1800HP」シリーズなど計6製品を発表した。4月上旬より発売し、店頭予想価格はWi-Fi子機が9,000円前後、Wi-Fiルータが16,000円前後より。

最大のトピックは、Wi-Fiの新規格「Draft IEEE802.11ac」に対応したこと。日本国内における電波法の改正により、Draft IEEE802.11ac対応製品が正式に登場する運びとなった。IEEE802.11acの規格上の最大転送速度は、実に約7Gbpsにもなる。5GHz帯の周波数を使い、MIMO方式の多重化数などに応じて最大転送速度が段階的に変わる。

AtermWG1800HP

AtermWG1400HP

Atermシリーズ新モデルのラインナップと店頭予想価格は以下の通り。

理論値最大1.3Gbps通信に対応した「AtermWG1800HP」(19,000円前後)、「AtermWG1800HP」が2台セットになった「AtermWG1800HP イーサネットコンバータセット(PA-WG1800HP/E)」(35,000円前後)、理論値最大867Mbps通信に対応した「AtermWG1400HP」(16,000円前後)、「AtermWG1400HP」が2台セットになった「AtermWG1400HPイーサネットコンバータセット(PA-WG1400HP/E)」(29,000円前後)。さらに、Draft IEEE802.11acおよびUSB 3.0対応のWi-Fi子機「AtermWL900U」(9,000円前後)と、「AtermWL900U」と「AtermWG1400HP」をセットにした「AtermWG1400HP USBスティックセット(PA-WG1400HP/U)」(23,000円前後)が用意される。

ルータ製品の各モデルとも、既存のIEEE802.11b/g/n規格もサポート。2.4GHz帯を使った場合でも、理論値最大450Mbpsの高速Wi-Fi通信が可能だ。有線LANインタフェースは、WAN側/LAN側ともGigabit Ethernet対応で、有線LANハブ×4ポートを備える。Wi-Fi子機からの接続としては、QRコード読み取りの「AtermらくらくQRスタート」をはじめ、各OSに応じて多数の接続機能を用意。「AtermWG1800HP」と「AtermWG1400HP」の本体サイズは約W33×D111×H170mm、重量は約0.4kg。USBスティック子機「AtermWL900U」の対応OSはWindows XP / Vista / 7 / 8だが、USB 3.0接続はWindows 7 / 8のみサポート。本体サイズは約W28×D86×H14mm、重量は約0.02kg。

AtermWG1400HP USBスティックセット

AtermWL900U

ハイエンドモデルの「AtermWG1800HP」では、Wi-Fiルータ(親機)、または子機モード(イーサネットコンバータモード)に加えて、中継機モードを搭載した。一般的な中継機の場合、子機との通信+親機との通信を時分割で行うため、転送速度は理論値の半分になる(理論値最大300Mbpsなら150Mbps)。しかし「AtermWG1800HP」では、親機との通信は5GHz帯の理論値最大1.3Gbps、子機との通信は2.4GHzの理論値最大450Mbpsという使い方が提案されており、より有利な条件でWi-Fi電波を中継できる。

そのほか、IPv6対応を強化し、「IPv6ルータ機能」を搭載。IPv6トンネル対応アダプタ機能を備え、NTT東西が提供している「フレッツ ネクスト」のIPv6インターネット接続(IPv6 PPPoE)に対応している。今後のバージョンアップにより、CATV業者などが提供している「IPv6 IPoE方式」にも対応する予定。

μSRアンテナ。左側の配線パターンが2.4GHz用、右側が5GHz用

今回の新モデルでは、NECの中央研究所が開発した先端技術、「μ(マイクロ)EBG」と「μ(マイクロ)SRアンテナ」を適用しているのもポイント。まず「μEBG」は、特定の周波数ノイズだけをカットできる人工媒質「EBG(Electromagnetic Band Gap)」の技術をプリント基板に応用。アンテナの受信感度が従来比で約10倍も向上したほか、ノイズ対策部品が不要となるため、製品の小型化にも大きく貢献している。

「μSRアンテナ」は、金属リングの一部を切断したC字型の共振器「SRR(Sprit Ring Resonator」をアンテナに採用。プリント基板にSRRを複数積層する構造により、十分な電波の放射量を維持し、全方向に感度を有する特性を実現。従来モデルと比べて、アンテナの占有面積を88%も削減できたという。こうした技術の搭載により、今回の新モデルも「アンテナ内蔵」を継承し、縦置き、横置き、そして壁掛けでも使用できるようになっている。