GIGABYTEは台湾内に南平、平鎮と言う2つの工場を持っている。他にも中国に寧波、東莞と言う2つの工場があり、これら4つの工場で世界のニーズに応えている。今回、このうち南平工場のマザーボード製造ラインを取材する機会を得られので、"潜入レポート"をお届けしたい。

桃園県にある南平工場を訪問

同工場は、台北からは車で約1時間ほどの桃園縣平鎮市にある。もうひとつの平鎮工場は現在、サービスセンター兼製品倉庫として利用されているとのことで、南平工場は台湾で唯一、製造を手がける工場となる。南平工場には、マザーボードの製造ラインが2ライン、グラフィックスカードが1ライン備えられている。このほか南平工場では、デスクトップPC、ノートPC、サーバ、携帯電話と、ハイエンド製品や先端製品を中心に幅広い製品を製造している。

ロビーには拡張スロットやヒートシンクで作られた南平工場の模型があった

歴代マザーボードも展示。i486マザーやスロット時代のマザーボードも

GIGABYTEの現在の生産体制。4つの工場は、2つが台湾内、残り2つは中国

マザーボードやグラフィックスカード、サーバ、PC製品やスマートフォンなどもここで製造される

ちなみに、敷地面積などの規模で言えば寧波工場が最も大きいそうだが、同社スタッフによると、今現在、中国製造から台湾製造に戻す回帰的な動きがあるとのことだ。そのメリットは、熟練工の多さと言う。

中国の場合、新興国と言うこともあり人の入れ替わりが激しく、1年未満で退職する従業員が大半を占める一方、南平工場では5年以上勤務している従業員が約72%、1年以上5年未満が19%、そして1年未満は9%と言う。

製造コストと言う面では中国工場にメリットがあるが、品質を保つためには台湾内の工場の方がメリットが大きいとのことだ。

従業員はその多くが5年以上勤務する熟練工とのころ。人の入れ替わりが少ない分、品質面でメリットが大きいと言う

品質と言う点では、見学の前に受けた事前レクチャーでも特に説明に熱が入っていた。

QMS(Quality Management System)は、ひとつの情報を工場内の皆でシェアできるシステムと説明する。そしてそれが改善につながり、品質工場ができると言う。また、CIP(Continuous Improvement Program)は従業員の意見をまとめる仕組み。実際に従業員が生産するなかで、見つけた意見を吸い上げ、判断し、以降の生産に反映させていくと説明する。整備、管理、衛生、安全、スピード、節約、トレーニングといった全てがこのCIPで行われているという。

製造過程における品質管理、テスト手法、信頼性テスト、失敗の分析、継続的な改善プログラムといった5つの点を挙げた

CIPという仕組みによって、従業員の業務のなかから見つけた改善点を反映させていく

工場内にCNC(Computer Numerical Control)を置き、製造ラインで必要な機器や、テスト用の機器などは自前で作れるとのこと

信頼性テストでは、振動、落下、温度といった項目を行なっているとのこと

見学はエアシャワーを経て、7階から5階、2階といった具合に、階を下る流れで進められた。実際の製造工程も、上階から下階へと流れていく。途中階は、グラフィックスカードその他の製造ラインに用いられているとのことだ。

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