キーボードは標準的。パームレストは滑りにくい仕様

キーボードはJIS配列の日本語87キーで、キーピッチは19mm、ストロークは1.2mm。クラムシェル型のA4ノートより若干浅い打ち心地だが、Ultrabookとしては標準的な打鍵感で、Enterキーが大きめに取られており使いやすい。配列やキーピッチ、キーストロークなど数値も、同社のUltrabook「dynabook R632」とほぼ同じで、バックライトも備えている。

dynabook R822/T8のキーボード部

パームレスト部とタッチパッド。パームレストは滑りにくい、ざらついた質感

パームレストは濃い茶色のマット塗装で、プラスチックとマグネシウムの二重構造を採用している。細かな凸凹が付いたざらついた手触りで、滑りにくい仕様だ。

なお、前述の通り、ディスプレイ下部のベゼルはパームレストと同様の素材でカバーされ、タブレット状態にした時にその部分に指を掛けられるデザインとなっている。

本体色と合わせたタッチパッド部は滑らかな質感で、クリックボタンはパッド部と一体化している。ボタン部にはわずかに盛り上がったラインが引かれ、触るだけでわかるようになっている。

Windows 8用の独自アプリが使いやすい

ここで「dynabook R822/T8」のスペックを改めて確認しよう。搭載されているCPUは、Intel Core i5-3317U(1.7GHz)、チップセットはMobile Intel HM76 Express。メモリはPC3-12800 4GB(4GB×1)、ストレージは128GB SSD、グラフィックスはIntel HD Graphics 4000(CPU内蔵)を搭載する。

インタフェース類は、本体の左右・背面に配置。本体右側面にはヘッドホン端子、SD/SDHC/SDXCメモリーカード・マルチメディアカードを読み込めるブリッジメディアスロット×1を搭載。

背面には電源ポート、USB 3.0×1、HDMI出力×1。左側面にはUSB 3.0×1や、電源ボタン、音量ボタン、画面ロックボタンなどを搭載する。有線LANやD-Sub端子は非搭載。筺体を薄くするためか、インタフェースを最低限に抑えた印象がある。

左側面には電源ボタンや画面ロックボタンなどを搭載。電源ボタンは小さく、少し押しづらい

175gの小型ACアダプタを同梱する

背面のWebカメラ(有効画素300万画素)。液晶を90度に立てることができないため、傾斜状態でも正面を撮影できるよう設置されている

起動して最初に立ち上がるModern UI画面には、東芝の2012年秋冬モデル共通となるWindows 8用アプリ「思い出フォトビューアー」や「MediaBook」などが登録され、必要に応じてすぐに起動できる。

標準のデスクトップ画面に移動すると、タスクバーの中央がソフトウェアキーボード呼び出しボタンとなっていた。ボタン幅が広いので、使いたい時にタップで呼び出しやすい。ソフトェアキーボードの反応も良好で、割と軽快にタイピングできた。

タスクバーの中央がソフトウェアキーボード呼び出しボタンに

搭載されているソフトウェアキーボード

また、2012年秋冬モデルの共通アプリを試用してみた中では、デスクトップにショートカットが用意されている「デスクトップアプリメニュー」の使い勝手が良かった。Windows 7のスタートメニューに近い役割のソフト、いわゆるランチャーだ。インストールされているアプリの一覧が表示でき、コントロールパネルやマイフォルダへのリンクを備えているため、Windows 8のUIに慣れるまで(もちろん慣れたあとも)役立つだろう。

本体には加速度、角速度、地磁気といった各センサーを搭載。タブレット状態では向きに応じて画面が回転するが、ノートPC状態では、自動で画面方向がロックされる。

デスクトップアプリメニュー

規定のテンプレートをベースに、写真を並べるだけで電子アルバムを作成できる「MediaBook Express」も搭載

まとめ - コンバーチブルならではの使い方ができるマシン

ざっと試用してみた印象では、本機はモバイルでも良いが、どちらかと言えばタッチパネル液晶搭載ノートPCとして有用性が高いと感じた。試用機のためバッテリや性能のベンチマークは取れなかったが、Core i5-3317Uや128GB SSDなどコアパーツが高性能なので、Web閲覧やWord・Excelの使用程度では、ほとんどもたつきを感じなかった。

ソフトウェアキーボードもそうだが、検索でちょっと入力したい、もしくは音楽操作をしたいという時に、マウスやタッチパッドを使ってポインタを動かすのは面倒なものだ。この少しの手間をタッチ操作で省けるのは非常に便利。据え置きノートPCとしては、12.5型というサイズは小さく感じられるかもしれないが、場合によっては外に持っていけるというところに惹かれる。

個人的に気になったのは約1.49kgという重量。特にタブレット形状の本機を片手で持ち続ける、という使い方は難しいかもしれない。ただし、片手で持ててキーボードが付属しない5型や10型のタブレットとは、位置付けも性格も違う。一般的なクラムシェル型のノートPCとして使いながら、例えば近くにいる友人に画面上の地図を見せたい時や、対面で相手に画面のデータを見せたい時など、タブレット形状ですぐに見せられる。そしてタッチ操作もできる。そうしたコンバーチブルならではの使い方ができる上、必要十分なスペックを備えている点が本機の魅力だ。

タッチパネル搭載のノートPCは現状では数が少ないため、タブレットへの変形機構を抜きにしても、タッチ搭載ノートPCに魅力を感じる人は選択肢に入れておきたい。また、変形機構自体にも面白さがあり、ガジェット好きなら一度は触っておきたいタブレットといえる。

製品名 dynabook R822/T8
CPU Intel Core i5-3317U(1.7GHz)
チップセット Mobile Intel HM76 Express
メモリ 4GB
ストレージ 約128GB SSD
光学ドライブ 非搭載
グラフィックス Intel HD Graphics 4000(CPU内蔵)
ディスプレイ 12.5型HD IPS液晶(1,366×768ドット)
ネットワーク IEEE802.11b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0
インタフェース USB 3.0×2、HDMI出力×1、ヘッドホン出力×1
メモリースロット ブリッジメディアスロット
TVチューナー 非搭載
サイズ/重量 約W326.5×D213×H19.9mm/約1.49kg
OS Windows 8 64bit
店頭予想価格 150,000円前後