ところで、日本タングステンは福岡県福岡市に、共和技研は福岡県大野城市にある企業だ。冒頭でも触れたとおり、ブースを出展している各大学もすべて福岡県内。カシオは本社こそ東京だが、福岡に営業所がある。これは決して偶然ではなく、本イベントの企画運営にも携わる滝川教授の教育理念に基づいている。

福岡教育大学の「情報工学技術体験」。センサーアイを通じて見た風景が、ロボットが見たときの風景映像に変換される

九州大学大学院の「空気砲による風圧型触覚ディスプレイ」

「これからは国にお金がなくなって、教育に投資したくても投資できない時代になっていきます。教育も産業も、国におんぶにだっこの時代は終わろうとしている。そこで、これから鍵になるのは"地域"です。

地域の行政、学校、企業、そしてボランティアなどが一緒になって、新しい教育の形や動きへ挑戦する必要があるんですよ。だから、今回のイベントも地域の教育力と企業の協力ができるようなものにしたいと考えて、福岡に関係のある企業に声をかけさせていただきました」(滝川教授)

東海大五高校の「ロボット教室」。マジックで描かれた線を検出して、その上をたどって移動するようプログラミングされている

会場のブースを見て回るうちに、子供たちが自然と自分の地域に誇りを持てる、そんなイベントにしたかった、と滝川教授は続ける。

自律運動でサッカーをするロボットも

「地元の大学がこんなに進んだ研究をしているんだ、ロボットを作っているんだって、なかなか知ることができない。企業にしても同じです。こんなすごい企業が地元にあったんだと思えることは、すごく大切なんですよ。

子供たちがこのイベントに来て、地域のいいところを感じ取って、自分も頑張ろうと思ってくれることが、やがて地域の活性化につながります。教育を高められた子供たちが世界に出て、また帰ってきて町を良くしていく。それには、故郷に愛着と誇りがないとダメなんです」(滝川教授)

余談だが、日本タングステンの2013年の入社試験倍率は約27倍となり、共和技研もすでに50台のトップガンをバッティングセンターなどに納入、事業部化するに至っている。さらに、同社の空気制御技術を高く評価した複数の企業から、まったく新しいビジネス分野での引き合いも来ているそうだ。なるほど、両社とも地元福岡が誇れる地域企業であることは間違いない。

東海大五高校の「スライム作り」(蛍光、磁性バージョン)。参加希望者が長蛇の列を作り、時間帯によっては30分以上待つことも!

「世界一行きたい科学広場in宗像 2012」の模様やトークショー、展示のスライドショーはこちらから →

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