マイクロソフトが提供するパブリッククラウド

日本マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 クラウドプラットフォーム推進部 エバンジェリストの安納順一氏

Windows Azure Platformは、マイクロソフトが2010年から提供を開始しているパブリッククラウドサービスだ。パブリッククラウドとは、ユーザーの視点で見れば、業務システムの一部または全部をオンラインの外部サービスとして利用する形態のこと。ソフトウェアやアプリケーションを提供するSaaS、OSを含めアプリケーションのプラットフォームを提供するPaaS、仮想化されたハードウェアやインフラ(ストレージやサーバ)を提供するIaaS/HaaSと呼び、3つの層に分けて紹介されることが多い。Windows Azure Platformは、このうちのPaaSに相当するサービスとなる。

中堅中小企業がビジネスを行う際には、ソフトウェアをサービスとして利用するSaaSは、比較的メリットが見えやすく、実際、営業支援や顧客管理といった分野で広く利用されるようになっている。一方、PaaSは、専任のIT担当者や開発担当者を置くことが難しいこともあってか、予算を振り向けるまでに至らないのが実情だ。特に、特定のプログラミング言語を使って開発しなければならないケースでは、人材の確保やノウハウの学習に時間やコストがかかることになる。

そんななか、Windows Azure Platformは、Windows Serverの機能をサービスとして提供するタイプのPaaSであることが注目できる。中堅中小企業のITシステムのほとんどがWindows Serverをベースにしたシステムであることを踏まえると、他のPaaSと比較して、導入や運用がしやすく、既存システムの開発で培ったノウハウをそのまま生かすことも可能になっている。

では、そもそもWindows Azure Platform とはどんなサービスで、どう活用していくことができるのか。日本マイクロソフトでクラウドプラットフォーム推進部のエバンジェリストを務める安納順一氏に、Windows Azure Platform の特徴を紹介してもらった。

――まず、マイクロソフトにとってのPaaSの位置づけを教えてください。

安納氏 : OSやミドルウェアの機能をサービスとして提供する、言い換えればアプリケーションのホスティング基盤として提供するのがPaaSです。PaaSでは、基盤ソフトウェアのメンテナンスはクラウドベンダーの仕事になります。したがって、お客様はアプリケーションを自由に開発していただくことができ、メンテナンスも基本的にアプリケーションだけに注力していただくことができます。Windows Azure Platform も基本的な部分は変わりません。

――Windows Azure Platformとはそもそもどんな機能を持っているのですか。

安納氏 : 大きく、コンピューティング、永続ストレージ、ファブリックの3つのコンポーネントに分けられます。簡単に言えば、コンピューティングはOSやCPUのこと、ストレージはデータの保管庫のこと、ファブリックはサービスをつなぐミドルウェアのことです。製品の名称で言えば、コンピューティングが Windows Azure、永続ストレージが Windows Azure Storage および SQL Azure、ファブリックが Windows Azure AppFabricとなります。これらに加えて、各種データやアプリケーションをクラウド上で購入可能な、Windows Azure Marketplace というコンポーネントも提供しています。