Sシリーズは、新ウォークマンの実質的な中心モデル。新Sシリーズの最大の特徴は、ノイズキャンセリングシステムが、従来のアナログタイプから、デジタルタイプに変更されている点。2008年に、世界初のデジタルノイズキャンセリングヘッドホンとして登場した「MDR-NC500D」は、当時、4万9,350円という価格で、Sシリーズの価格を考えると、かなり思い切った採用だといえるだろう。今回試用したのは、新Sシリーズのスピーカー付きモデル「NW-S755K」の試作機だ。昨年モデルのSシリーズは、スピーカーの付属/非付属に加えて、ノイズキャンセリングシステムの搭載/非搭載で、4種類に分かれていたが、今年のモデルはすべてノイズキャンセリングシステムを搭載しているため、シリーズはわかりやすい構成となっている。新ウォークマンは、Sシリーズの上に、デジタルアンプを採用したAシリーズ、Sシリーズの下にエントリー向けのEシリーズという3シリーズ構成で、Sシリーズはメイングレードということになる。今回は、新Sシリーズの代表的な機能にしぼって、チェックして行こうと思う。

Aシリーズを一回り小さくしたようなスタイルの新Sシリーズ

ノイズキャンセル用のマイクが装備された付属のヘッドホン

まずは、Sシリーズの外観からだ。本体サイズは42.5(W)×94(H)×7.2(D)mm。Aシリーズを一回り小型にしたといったところだ。本体と一緒に写真に納まっているのが、付属のヘッドホン。13.5mm径ドライバーを採用するEXヘッドホンで、ノイズキャンセリングシステムのためのマイクが内蔵されている。Sシリーズのヘッドホンを別のものに交換する場合はノイズキャンセリング機能搭載”ウォークマン”用アクセサリーが用意されている。本体の下面には、ヘッドホンジャックとWM-PORT、ストラップ用のホールが配置されている。WM-PORTの採用がなければ、ここまでの薄型化は難しかっただろう(miniBのプラグ側コネクタの厚みが4mm程度、それに対してWM-PORTのプラグ側コネクタの厚みは1.5mm程度しかない)。

本体の下面の写真。WM-PORTの薄さが、7.2mmという本体の薄さを実現している

付属のケーブル。WM-PORTのコネクタ部分の薄さがわかる

右側面には、ボリュームとホールドスイッチ

右側面には、スライド式のホールドボタン、アップダウン式のボリュームボタンが配置される。以前にレビューを行ったXシリーズでは、ここにデジタルノイズキャンセリングシステムのオン/オフボタンも配置されていたのだが、Sシリーズには採用されていない。表面には、4方向の方向キーと、センターに「再生/一時停止」ボタン、「BACK/HOME」ボタン、「OPTION/PWR OFF」ボタンが配置されてる。操作系はこれだけで、非常にシンプルにまとめられている。新Sシリーズでは、多くの操作をホームメニューから行う。写真が、ホームメニューを表示した状態だ。縦4×横3のアイコンが並んでおり、方向キーと「再生/一時停止」ボタンで機能を選択する。黄色くなっているアイコンが現在選択されているもので、画面の一番下に、アイコン名が表示される。「OPTION」ボタンは、その画面で、さらに細かな設定ができるときに使用する。「BACK」ボタンは、メニューを1項目戻るためのボタンで、長押しすると、ホームメニューが表示される。

(左)操作部分はいたってシンプルだ。(右)ホームメニューの表示。それぞれのアイコンは、左上から、「おまかせチャンネル」「FMラジオ」「ちょい聴きmora」(1段目)、「写真」「音楽」「ビデオ」(2段目)、「ノイズキャンセル」「ポッドキャスト」「プレイリスト」(3段目)、「各種設定」「録音」「音楽再生画面へ」(4段目)

付属のスピーカーにセットすると、写真のようになる。この状態でもほとんどの操作は可能だ。スピーカーにセットすると、本体の右側面に配置されているボリュームは使用できなくなるが、スピーカーの右上にボリュームボタンが装備されているので問題ないだろう。また、スピーカー付属モデルには、ACアダプターが標準で付属する。スピーカーにはACアダプターをつなぐためのジャックが用意されており、USB端子が使えない状況でも、ウォークマンに充電を行うことができる(スピーカー付きモデルとスピーカー無しモデルとの価格差は、ソニーストアだと3,000円。ウォークマン用の純正ACアダプターの価格は2,000円前後なので、スピーカー付きモデルの方が、お得感はある。ただし、メモリーを32GB積んだモデルは、スピーカー無しモデルのみ)。なお、当然だが、スピーカーにセットした状態では、ノイズキャンセル機能は使えない。また、ヘッドホンのコードがアンテナの役割を果たすために、FMチューナー機能も利用できなくなる(機能自体は動作するが受信できない)。

「NW-S755K」を、付属のスピーカーにセットした状態

スピーカーの右上には、ボリュームが装備される

スピーカー付きモデルは付属のACアダプターでの充電も可能