ITU(国際電気通信連合本部)が10月5日から9日にかけて、スイス・ジュネーブで開催した「ITU Telecom World 2009」の2日目、メインフォーラムでは、政府関係者、企業などが経済発展におけるICTの役割をテーマに、取り組みやアイデアを交換した。

米商務省NTIAの通信・情報担当長官補佐 Lawrence E. Strickling氏

米商務省NTIAの通信・情報担当長官補佐 Lawrence E. Strickling氏は、「Barack Obama政権は、ICTインフラは世界経済を奨励する重要な業界であると認識している」と述べ、ICTの経済貢献を強調するITUの意見を支持した。そして、「世界不況はICT発展の障害ではなく、ICTが乗り越える課題といえる」と見解を示した。

Strickling氏は、経済開発における重要性とともに、オープンなインターネット、自由なインターネットの重要性も強調した。「市民の発言の自由、情報から学習できる自由、これを実現するのがICTだ」- 政府対市民でも同じだ。「ICTにより、透明性があり、コネクテッドな政府が実現する。市民が政府の意思決定に参加できる」(Strickling氏)。ネットを活用した大統領選で知られるObama政権ならではだ。

Strickling氏は、2週間前に政府が発表したイノベーション経済確立に向けた戦略を紹介した。イノベーションと投資の両輪を持ち、イノベーションにより国際競争力、雇用、耐久性のある経済の3つを実現しようというものだ。

この計画は、

  1. イノベーションのビジネスブロックに投資
  2. 起業家を育成する競争力のある市場の推進
  3. クリーンエネルギーなど優先順位を付けて画期的な技術を触媒する

の3つで構成される。たとえば1つ目では、研究開発への投資を拡大する。教育も、科学、数学、物理学などの分野を中心に改善するという。

ここで重要になるのが、ブロードバンドだ。「高度技術エコシステムの確立、つまり、全市民がインターネットに安価にアクセスできる環境」とStrickling氏は言う。Obama大統領は今年2月、不況対策として、物理インフラの建築、ICT活用によるヘルスケアコストの削減、再利用エネルギーとスマートグリッド構築によるエネルギー危機対策などを発表した。今後、政府は70億ドルをブロードバンド関連に直接投資し 普及していない地区にブロードバンド環境を整備するのを支援していく。同時に、ブロードバンドを持続的に利用できるような奨励策や、図書館などでのパブリックコンピュータセンターの立ち上げ、といったプロジェクトも進めるという。今年夏に最初の受付を開始したところ、22の案が提出され、現在レビュー中という。