Dual GPU環境

さて、最後になるがDual GPU環境について確認しておきたいと思う。CrossFireXに加えてSLIも使えるようになったことで、ユーザーの選択の幅は確実に広がった訳だが、問題は「本当にちゃんと動くのか」である。そんなわけで一応動作確認を兼ねてベンチマークを行ってみた。趣旨からして、通常の2Dベンチマークやエンコードなどを行っても仕方が無いので、ここでは3DMark Vantageとゲームベンチマークに絞っている。

ちなみに当然のことながら、スコアはGeForce GTX 280を搭載したENGTX280 TOPの方が上である。なんせ実売価格で比較すると、片や12,000円前後、片や40,000円オーバーである。スペック的にもENGTX280 TOPの方が当然上だからだ。今回の趣旨は別に両方のグラフィックスカードを比較するわけではなく、それぞれSingle→Dualにしたとき、どう性能が変わるかを確認するのが目的であるので注意されたい。

グラフの表記は、

Radeon HD 4870 Radeon HD 4870の単独利用
CrossFire X Radeon HD 4870のDual、CrossFire構成
GeForce GTX 280 ENGTX280 TOPの単独利用
SLI ENGTX280 TOPのDual、SLI構成

となっている。テスト環境はCore i7-870をHT有効の状態で利用した。

さてまずグラフ38は3DMark VantageのPerformance Profileの結果だ。当然ながらCPUスコアはどのケースでも同一だが、Graphicsのスコアは大きく変動、結果として3DMarkのScoreも大きく変化している。Graphicsスコアで比較するとSLIが75%アップ、CrossFireも65%のアップだから、これは十分効果的に機能していると判断していいだろう。

ではゲームでは? ということでWUXGAのみの解像度でテストした3つの結果をまとめたのがグラフ39である。Company of Heroesは、いくらVSYNCを切っても(ゲーム内部には設定が無いので、どちらもDisplay Driverの設定側で強制的にVSYNC Offを掛けている)どうも60fps近辺でフレームレートがクランプされてしまう感じだ。ただ、Street Fighter IVやTHE LAST REMNANTはきっちり性能の底上げがなされており、アプリケーションによる得手不得手(Street FighterはどうもRadeonとは相性が良いらしい、など)は多少あるにしてもちゃんと動作していることが見て取れる。

もっとも、細かく見るとまだちょっと怪しい部分があるのも事実だ。グラフ40~43はHalf-Life 2の結果である。グラフ40は解像度別に6つのシナリオの平均値を取ったものだ。

今となっては軽めのゲームに属するHalf-Life 2の場合、解像度が低いとSLI/CrossFireのオーバーヘッドの方が大きく、高解像度になるほど差が出やすい筈で、CrossFire Xはそういう結果になっているわけだが、明らかにSLIのグラフの傾きが変である。これが極端に判るのがHighwayシナリオ(グラフ41)。SLIがもはや単に負荷でしかなくなっている。もっともCrossFire Xも殆ど性能の伸びは皆無なので、まぁどっこいどっこいなのかもしれないが。グラフ40より多少マシか? というのがグラフ42だが、こちらも明確なアドバンテージは見られない。もっともこうしたものだけではなく、ちゃんとCrossFire X/SLIの効果が理論通りに示されるケース(グラフ43)もあるから、全く効果が無いわけではなく、ただしまだムラがある感じだ。

もっとも、負荷がより高いゲームではCrossFire XもSLIももう少し効果的である。グラフ44~46は、CRYSiS Warheadの結果である。

13個のシナリオについて、解像度別に平均値を取った結果(グラフ44)では、CrosssFire X/SLI共に、平均的に性能の向上が得られている事が判る。グラフ45が、一番負荷の高いAmbush 2、グラフ46は一番負荷が軽いCaveで、いずれの場合でもそれなりにDual GPUの効果が出ていることが判る。ただしCrossFire Xはまだ理解できるカーブを描いているが、SLIの方は解像度が上がると急速に差が縮まる、というやや理解しがたいカーブになっているあたり、もう少し調整が必要な感じである。また、SLIではしばしばゲームがハングアップし、再起動が必要な場合があるという不安定さも垣間見えた。このあたりは、今後のドライバあるいはBIOSのチューニングが必要な部分であろう。

そんなわけで、細かく見るとまだ完成度とか性能に若干の疑念はあるが、本節の目的である「Dual GPU環境が動作する」事は確認は出来たと言って良いだろう。