RMT市場内部でも立場の違い

経済の視点からRMTをみても、 問題が山積みだ。企業登録もしていない、税金も納めない、労働法も守らないなどの「ナイナイづくし」が実態。代練工作室は、まるで闇企業、といった感じだ。その工作室で低賃金で酷使されている若者も、深刻な健康問題を抱えている。ひたすら代練のスキルを磨くだけで、現実世界で自立していく上でのスキルは磨きにくい。将来、どのように自立自活していくかの展望がないのが現状だ。

前述のように、人民元で取引されているオンラインゲーム関連のバーチャルアイテムやQQ幣が、実態経済にどのような影響を与えるかといった問題にも答えが示されていない。

また、中国にいながら海外のゲーマーから代練の仕事を受注した場合、どのように報酬を受け取るかという問題もある。中国の外貨管理当局にとっても未知の領域に属する事柄だ。

RMT市場内部の矛盾もある。オンラインゲームサイトは、自社とゲーマーの間で行われる取引の内容が外部に流出することを嫌っており、ショッピングサイトや専門サイトに協力的ではない。

QQ幣を発行している騰訊が、自社所有の著作権、財産権が侵害されたとして、淘宝網と同サイトでインスタントメッセンジャーサービス「QQ」のIDを売る人々を訴えたことがある。QQ幣やQQIDが他社サイトで取引されると、騰訊にとって不利益なだけではなく、盗まれたQQ幣やQQIDで犯罪行為が行われた場合、騰訊自身の責任が追及される可能性があるからだ。

だが、こうしたことを考慮しても、RMTは、インターネットユーザー数が今年世界一になることが予想され、青少年のネット人口だけで1億700万人を数えるネット大国中国で、すでに大きな市場規模を持ち、さらなる発展の潜在力を持っているのが現実である。

さまざまな問題を抱えているとはいえ、インターネット人口やオンラインゲームプレイヤーの増加の増加に伴い、社会のRMTに対する認知度が上がり、取引をめぐる環境整備や不法行為に対する実効ある取締措置が施されれば、中国におけるRMT市場は今後も拡大成長するものと考えられる。