ECサイトでもオンラインゲーム関連商品が"花形"に

「代練」取引の登場は、非常に重要な意味を持っていた。ゲーム世界の"仕事"でも現実世界で金銭を得ることができる「RMT」という道があることが、世間に初めて発信されたからだ。新しい金銭獲得手段に敏感な人々や企業が相次いで代練の取引に進出するようになり、中国におけるRMTは、急速に商業化への道を歩み出した。

当初、一対一で行われていた代練の取引は、常識で考えれば効率の良い商売ではなかった。というのも、発注側からの情報が分散的に発信されるため、条件に適合した相手を見つけるのが極めて時間のかかる、厄介なことだったからだ。

しかも、受注者が見つかった後も価格や納期などをめぐる商談で時間がかかる。このようないわゆる「リードタイム」は、代練取引の双方にとり、できれば省略したいものだった。こうした不都合や情報不足を解消し、個別の商談を効率的に進めながら取引対象を増やし、RMT市場を拡大するために動き出したのが、ネットショッピングサイトやオンラインゲームサイトであった。

試しに中国最大のオンラインショッピングサイトである淘宝網を見てみても、「点※1」「遊戯幣(ゲーム内通貨)」「帳号(ゲームID)」、「装備(道具)」といったオンラインゲーム関連商品が、ゲームタイトルごとに 商品一覧のトップに挙げられている。

※1 上の下に「ト」

さらに拍拍網TOM易趣網などのネットショッピングサイトを見ても、オンラインゲームの関連商品を中心としたRMT商品が花形商品になっていることが分かる。

オンラインゲームサイトは、当初キャラクター育成や道具などがゲーマー間で金銭取引されることに対し、これを認めない方針だった。だが、代練などの取引を禁止すると、支払い能力の高いゲーマーの流出を招きかねないこと、さらには、RMT商品の収益がネットショッピングサイトなどに吸収されることを防ぐ立場から、次第に容認する方向へと転換していった。

その結果、現在ではどこのゲームサイトにおいても、RMT商品が取引されていると言っても過言ではないような状況になった。さらにはより差別化を図るため、RMT商品の取引を専門とするサイトまで登場してきた。「中国網絡遊戯服務網(5173網)」が、その代表的な存在だ。