「5173網」などRMTの仲介業者も発達

5173網は2002年、デジタル商品を中心とする電子商取引サイトとして開設された。その後RMT市場に進出、コア業務を漸次RMT商品の電子商取引へとシフトしてきた。5173網のサイトにアクセスすると、人気タイトルのゲームIDやポイントカード、代練、キャラクターのツール、ゲーム内通貨などオンラインゲーム関連のあらゆるRMT商品が取引されていることが分かる。

5173網は、RMT商品のC2C、B2Cのプラットフォームとしてサービスを提供するだけでなく、ゲームIDの真贋鑑定、道具評価なども行っている。ゲームIDの盗難が氾濫し、キャラクターツール売買の詐欺が相次ぐ中、こうしたサービスは5173網により多くのユーザーを呼び込むのに一役買っており、ゲームIDの盗難にも一定の歯止めをかけられるのではないかと期待されている。

だが、ネットショッピングサイトやゲームサイト、RMT専門サイトは、いくら発達しているといっても、所詮RMT市場にプラットフォームを提供し、効率良く買い手と売り手を結びつける一種の仲介役にすぎない。

RMT商品の中でも、キャラクターツール、ゲーム内通貨、キャラクターのステータス、スキルなどは、すでにオンラインゲーム開発企業によって事前に決められている。ゲーマーは時間をかけ、ステータス、スキル、経験値などをアップさせていけば、それにふさわしい道具やステータスを手に入れることができる。

キャラクター育成は、MMORPGにおいて基本中の基本だが、同時に最も時間がかかり、最もスキルを要する作業だ。キャラクター育成、すなわち代練がRMTのコア商品となりえた理由もここにある。キャラクター育成というRMT商品を作っているのは代練の請負人達だ。RMT市場を支えている最も重要かつ広範な基盤であり、彼らがいなければ、そもそもRMT市場が生まれることもなかったと言える。

一部の代練請負人らが「代練工作室」を立ち上げ

前述のとおり、最初に代練でひと儲けをしようとした人達は、時間に余裕のある学生や無職者達だった。代練サービスの広告、クライアントとの商談から、代練の実施、納品、代金回収といった一連の仕事を、ほとんどの場合は彼らが自ら行っていた。

その後、代練のビジネスチャンスに飛びついた一部の請負人と「網※2」(ネットカフェ)の経営者らが、代練を行うための「代練工作室」を作った。代練工作室では、分業体制が敷かれ、キャラクターの育成を実際に行う者はそれに専念し、顧客との取引などは他の者に任せるという仕組み。

※2 口へんに「巴」

代練工作室のある「老板(ボス)」は、十数台~数十台のPCを投入し、数十人から百人規模の従業員を雇ったが、従業員のうち圧倒的な部分は、終日PCの前に座り続ける代練の実施部隊だった。ほとんどの代練工作室は2シフト制を取り、通常1シフトが12時間。"生産能力"は予想以上に大きかったという。

代練工作室は一見普通の企業や工場にみえる。だが実際は、企業登録もしない、税金も納めない、労働法も無視、といったグレーゾーンにあるものが多い。従業員をだましたり、従業員の賃金を支払わないまま夜逃げしたりする代練工作室が、事件として報道されることも少なくない。