画質テスト 各モデルの画質の差がはっきりと現れた
画質テストでは、各モデルともに、PC画面などの静止画はsRGB、テレビ放送は「標準」または「映画」、ゲームは「ゲーム」に切り替えて視聴を行っている。マルチメディア対応モニタの場合、テレビとPCで画作りが大きく異なることもあり、画質モードの切り替えは必須と考えたい。とはいえ、いずれのモデルも入力ごとに選択した画質モードがメモリされるので、最初に設定してしまえばあとは特に操作は不要だ。
静止画も動画も圧巻の高精細さに驚くMDT242WG
MDT242WGの画を見てまず驚いたのが、他を圧倒する高精細さ。動画や静止画表示では明らかにディテールの再現が上回っている。これは、家庭用テレビ並の明るい映像になっていることも理由かもしれない。反面、輪郭のジャギーが目立ちやすかったり、BDソフトの視聴でもややノイズが目に付くことがあった。フルHDパネルなのだから、高精細さは誰もが重視したいところだが、テレビ放送など、もともとノイズが多い映像ではノイズがそのまま目についてしまうので、やや見づらさを感じてしまう可能性がある。そして、本機だけの機能である残像低減機能も効果が大きい。素早い動きの映像もかなり鮮明で、テレビ視聴でもほとんど不満はないだろう。ただし、黒挿入技術を利用しているためか、画面はやや暗くなってしまう。
バランス良くまとまった画質のLCD-MF241X
LCD-MF241Xの画質は一言でいうと好バランス型。精細感、コントラスト、色再現などの要素がバランスよくまとまっているため、見やすい映像になっている。残像感はややボケ感があり、ゲームなどでは背景が素早く動くとやや見づらく感じることもあるのだが、プレイに支障が出るほどではない。不要な輪郭の補正による輪郭の不自然さがなく、ノイズ感の少なさも魅力と言える。AV視聴では、色再現の範囲も広く肌の色も健康的に再現する。フルHDパネルとしてはやや高精細さが不足しているようにも感じるが、適度にソフトな映像は、長時間の視聴でも目に負担がなく、使いやすいと感じた。テレビとしてはもちろん、モニタとしても快適に使えるだろう。
忠実な映像再現で、地味ながら総合力の高さが光るHD2452W
ここまでの2モデルは各社ともモニタ系の作りなので、色再現を含めて画質傾向は総じて忠実志向。そこに家庭用テレビ的な演出を加えて画質をまとめた印象であった。HD2452Wの場合は、そんなモニタライクな忠実志向の画質を徹底して追求したものだ。色再現の範囲自体は他と同様と思われるが、中間輝度以下のやや暗い色の再現が際立って上手だ。このため、単純な色の自然さではなく、物体としてのリアルな色がきちんと再現される。映像をきれいに見せるための色鮮やかさの強調を抑えているので、一見すると地味な映像になるが、表示される映像の忠実度はもっとも優れている。これは、映画のような暗めの映像が多いソフトの鑑賞でも強い味方になるし、デジタル一眼レフカメラなどの写真の加工などに使う上でも有効だと思う。動画の場合残像が多少目に付くが、オーバードライブ処理が巧みなため不自然な映像の乱れはなく、実用上はほとんど気にならない。
家庭用テレビらしいメリハリの効いた画質のLC-22P1
唯一の液晶テレビということで、本機だけは一般的なテレビに近い画質。画質調整機能は他の液晶モニタに比べると、シンプルなものになっているので、本格的なPCモニタとして使うことを考えるとやや不利になる。ただし、テレビ放送やBDソフトの映像の見やすさは抜群で、ノイズの少なさはもっとも優秀。色再現もやや鮮やかさを重視したものだが、違和感を感じるほどではない。むしろ、一般的な薄型テレビの画質を見慣れた人にとっては、こちらの方が好ましいと思う。ディテールの再現性では、他に比べるとわずかにソフトに感じる部分もあるが、動画のくっきりとした再現、メリハリの効いた画作りは見ていて安心感がある。テレビやゲームの使用が中心で、PC用途もヘビーな静止画加工や動画編集をするわけではないという人には最適。チューナー内蔵ということで、テレビとして使いやすいことも魅力になるだろう。
音質テスト 一般的な使い方なら、どれも不満はなし
薄型テレビでも最近増えているが、PC用モニタは一足先に画面周囲のベゼル幅を細くしたデザインのものが主流。省スペースなどメリットは多いが、スピーカーにとっては十分な容積を確保できないため、少々不利になる。そんななかで、画質同様にバランス良くまとまっていたのが、アイ・オー・データのLCD-MF241X。中音域主体で低音ややや物足りないが、聴き心地がよく仕上がっている。シャープのLC-22P1もこれに近い傾向で、音量を上げても耳障りにならず、人の声を明瞭に再現する。三菱のMDT242WGは、情報量が多く明瞭な音だが、大音量では少しにぎやかに感じることがあった。総じて、本格的なAV視聴などではやや物足りない部分もあるが、気軽に使うには十分な音質だった。EIZOは残念ながらスピーカーを内蔵していない。音質にこだわる人にとっては、自分の好みに合った高音質スピーカーを自由に選べる方が良いかもしれない。なお、EIZOの直販サイトでは、BOSE製の高性能スピーカー「M3」をセットで購入できるようになっている。
操作性 十字キーのメニュー採用で使い勝手はいずれも優秀
紹介したモデルはすべてリモコンが付属しており、画質調整などのメニュー操作に加え、入力切り替えや音量調整といったAV視聴時に便利な操作を手元で行える。いずれもPinP表示などのよく使う機能ボタンも備えており、画質の調整や切り替えもスムーズに行えた。チューナー内蔵テレビのシャープのLC-22P1だけは、チャンネル切り替えや番組表ボタンも備える、家庭用テレビとまったく同じ作りだ。しかも、同社のHDMI連携機能に対応し、レコーダーなどの操作もできてしまう。レコーダーなどを組み合わせて使いたい人には便利だ。メニュー画面も表示される文字がもっとも大きく、机の上などに置く近接視聴時以外でも使いやすい。その他のモニタモデルは、近接視聴主体のメニューで文字はやや小さめ。操作項目をアイコン化するなどの工夫をして、わかりやすさを意識した作りにはなっているが、調整項目が多いこともあり、家庭用テレビと比較すると、やや使いにくいとも感じる。一般的なテレビと同じ感覚でこうしたモニタを使おうとしている人は注意した方がいいだろう。