こうした難点が、より高機能なサードパーティー製リモート管理ソフトに参入の余地を与えているといえるだろう。そうした製品のひとつが、今回取り上げるリモートアドミニストレータ3(以下Radmin3)だ。

Radmin3の画面例。この例ではWindows VistaからWindows Server 2008にリモート接続しているが、Windows XPやWindows Vista、Windows Server 2003のリモート操作も可能だ

Radmin3はレスポンスの良さをうたっているが、特徴はそれだけではない。対象OSとして、サーバ系Windowsだけでなく、クライアント用のWindows XP/Vistaも含んでいることから、リモートデスクトップの代わりとしての利用も可能だ。とはいえ、製品名からみて、リモートアクセスやシンクライアントといった用途よりもリモート管理に重点を置いているのではないかと考えられる。

そして、サーバのリモート管理を行うという観点からRadmin3を眺めてみると、以下のポイントに注目できる。

AES暗号化による通信内容の保護

Radmin3では、クライアントとサーバの間でやりとりする通信を、AES(Advanced Encryption Standard)暗号化アルゴリズムを用いて暗号化している。そのため、遠隔拠点のLANに設置したサーバだけでなく、インターネット向けに設置したサーバのリモート管理にも使えそうだ。リモートデスクトップで同じことを行うには、別途、VPNトンネルを設定しなければならない。

ファイルのコピー機能

操作を行うクライアントと、遠隔操作の対象になるサーバの間で、ファイルのコピー操作を行える。また、すでに存在するファイルを更新するときには差分情報だけをコピーするため、その分だけトラフィックを抑制できるようになっている。Webサーバにコンテンツをアップロードするような場面で役立つ機能といえるだろう。

リモート接続中でもローカルログオンが可能、チャット機能の装備

Windows XPやWindows Vistaのリモートデスクトップ接続と異なり、Radmin3ではリモート接続とローカルログオンの共存が可能になっている。それだけでなく、リモート接続しているユーザーとローカルログオンしているユーザーの間で、テキストメッセージ、あるいは音声によるチャットが可能になっている。 たとえば、遠隔拠点に設置したサーバでトラブルが発生したときに、管理者が拠点側にいるユーザーに話を聞きながら、リモート接続して状況の確認・対応を行う、といった使い方が考えられそうだ。

充実したセキュリティ機能

システム全体、あるいはユーザーごとに、多様な機能の中から利用可能なものを細かく設定できる。たとえば、ファイル転送機能の利用を制限する、チャット機能の利用を制限する、といった具合だ。そのため、不要な機能が有効になっているせいで安全性が脅かされる、といった事態を回避しやすい。

さらに、IPフィルタ機能がある。これは、個別のIPアドレス、あるいはネットワークアドレスを単位とするアクセス制限機能で、登録したIPアドレスを持つホストからの接続のみを受け付けるようになっている。特に、インターネット経由でリモート管理を行う場合、ユーザーIDとパスワードを使った認証に加えてIPフィルタを利用することで、不正接続を阻止しやすくなるだろう。