政府が「漫遊費」についての公聴会を開催

今年1月22日、中国で経済・社会の発展に関する政策研究、立案を行っている国家発展・改革委員会(以下、国家発改委)と、情報通信政策を管轄する信息産業部は、中国で初となる携帯電話の国内ローミング料金の上限基準を引き下げることについての公聴会「降低移動電話国内漫遊通話費上限標準聴証会」(以下、公聴会)を開いた。

公聴会が開かれた目的はその名のとおり、中国の国内ローミング料金である「国内漫遊費」(以下、漫遊費)の上限基準の引き下げに関する検討を行うことにあった。では、中国における漫遊費は、現在どのような水準にあるのだろうか。

公聴会の開催に合わせ、大手ポータルサイトの網易は、携帯電話の通話料金について、1月21日から22日まで、5,135人を対象にネット調査を行った。

同調査ではまず、「現在の携帯電話料金を高いと思っているか」との質問に対し、70.8%が「途方もなく高い」、27.9%が「やや高すぎる」と回答。また、「携帯電話通話料金の中で、最も不合理な費用は何か」との質問に対し、95.1%が漫遊費と答え、ダントツの1位となった。このことから、漫遊費こそ、高すぎる携帯電話通話料金の元凶とみなされていることが分かる。

欧米では廃止された国内ローミング料金

漫遊費については、中国特有のものであると指摘するメディアや専門家もいる。網易は中国最大手の通信社である新華社の報道として、EU加盟各国においては、国内ローミング料金という概念さえなく、国際ローミングでさえ2007年夏から大幅に削減されてきたと紹介している。

網易はまた、日本や韓国でも国内ローミング料金は存在しないと報じている。専門家の代表として公聴会に参加した、政府直属の電子科学研究院とハイテク企業で構成される情報関連企業グループである中国電子科技術集団 第十二研究所 総工程師の朱錦林氏は、「米国とオーストラリアはローミング料金を徴収する制度を廃止している。中国もグローバルスタンダードに合わせるべき」と主張している。

このように、漫遊費の全面廃止あるいは引き下げを求める声は、中国で「国際接軌」(グローバリゼーション)が急速に進むにつれ、ここ数年ひときわ高くなってきているのが現状だ。