2月の新案に対しても消費者は厳しい声

公聴会の2週間後となる2月5日、国家発改委と信息産業部は漫遊費の値下げに関する新たな案を公表した(表1参照)。前述の議案2をベースにして作成されたものの、当時の案よりも消費者寄りの案であると両機関は説明している。

この発表の直後となる2月5日から12日までの1週間、3万5,472人が網易のネット調査に参加した。同調査では、「国家発改委と信息産業部による新たな漫遊費の値下げ案に満足しているか」という問いに対し、96.1%の消費者が「満足していない」と回答、新案も消費者の支持が得られていないことが判明した。両機関は早いうちに最終案を公表するとしているが、消費者サイドからのプレッシャーは増すばかりだ。

さらに、現在開かれている、日本の国会に相当する全国人民代表大会と中国人民政治協商会議では、携帯電話通話料金の調整と漫遊費の廃止、モバイル通信産業における独占体制の改革が民生に関わる重要議題の一つとして取り上げられている。キャリアと両機関は、両会から大きな圧力を受けているといえる。

携帯二番手の中国聯通の行方も不透明

こうした状況下で、今後の漫遊費を巡る動きは、消費者、通信キャリアの双方にどのような影響を与えるのか展望してみたい。

望んでいるほどにはならないかもしれないが、消費者は、現在よりは合理的な、漫遊費と携帯電話通話料金に関する体系を得ることができるだろう。最大手の中国移動にはさらなる発展の機会が与えられ、引き続き世界的なキャリアとして成長を続けていくことができるし、場合によっては「一人勝ち」すら考えられるだろう。

携帯業界で二番手につける中国聯通がこうした状況の変化を乗り越えて成長していけるのか、はたまた赤字経営に陥るか。それはまだわからない。だが、固定電話キャリア全体がいまより苦しい立場に追い込まれることになるのはほぼ間違いない。要するに、中国の通信産業地図が、漫遊費の値下げによって塗り替えられる可能性が十分にあるのだ。その成り行きを、国内外関係者がかたずをのんで見守っている。