IDF Fall 2007初日の午後、シニアバイスプレジデント兼デジタルエンタープライズグループ担当事業部長のPat Gelsinger氏の基調講演が行われた。同事業部は企業向けのデスクトップからサーバーまで幅広く担当している。今回の講演のタイトルは「Tick-Tock - Powerful、Efficient、and Predictable」だ。1年ごとに微細化とアーキテクチャの更新を交互に繰り返すTick-Tockモデルを採用している同社が、45nm世代のTick-Tockで投入する製品や新技術の方向性、パートナーとの取り組みなどがテーマとなった。
ムーアの法則で旅客機が進化すると……
Gelsinger氏はまず、「ムーアの法則を航空業界にあてはめてみると……」というたとえから講演を始めた。Intelの4004マイクロプロセッサ頃から飛行している大型機「Boeing 747」と最新の中型機「Boeing 787」を比べると、燃料コストに対する収入率は向上しているものの、機体という制限のある旅客機の乗客数や積み降ろしにかかる時間などには大きな変化は見られない。だが、仮に747から787に至るまでの時間にムーアの法則に従った200,000Xの向上を果たしたとしたら、今日の旅客機は1機で1億1800万人を運び、積み降ろしの時間は12msになってしまう。
Boeing 747とBoeing 787の基本性能を比較。効率的でより快適なフライトを実現する改善が施されているが…… |
ムーアの法則に基づいたTick-Tockモデルに則って進化すれば、1機で1億1800万人の乗客を運ぶことに……。ちなみにNY-ロンドンを2.4リットルの燃料だけで飛行時間8分という効率の良さになるそうだ |
もちろん半導体と飛行機を比較するのは現実的ではない。ただ半導体の微細化の限界が議論されるようになって久しく、飛行機に当てはめたたとえがジョークとして通用するぐらいムーアの法則の追求は難題となっている。そのような中で、Intelは今も微細化のペースを安定して保とうとしているのだ。
「ムーアの法則の追求に基づいたIntelの開発モデルとリズムは、長期的な展望の上で効率的かつ効果的に製品を提供する手段となっている」と同氏。それが業界にエキサイティングなコンピューティングロードマップを提供するエンジンになっている。そのための努力も欠かせない。たとえば「プロセッサに加えて、より優れた電力効率を実現できるデザインを考え、ハフニウムをベースとしたHigh-kトランジスタと共に、コンピュータの消費電力を抑えるシステムレベルのアーキテクチャの改善などに取り組んでいる」。