共有プラットフォームが実現する次世代アプリ

検索の次の段階としてSchmidt氏は、「バイラルスプレッド」という言葉を用いた。ユーザーが参加できるプラットフォームを提供することで、ユーザーどうしが情報を交換し合い、広めていくというものだ。

「業界は常にキラーアプリケーションを模索しているが、(キラーアプリとは)誰もが貢献できるサービスだろう」とSchmidt氏。YouTubeはユーザーがコンテンツを生成し、コミュニティ活動を展開する。それがGoogleが大金をはたいて同社を買収した理由という。また、たくさんのカレンダー機能がある中でGoogle Calendarが成功した理由も、共有機能を提供したためという。Schmidt氏はまた、カメラ、GPSなどの機能を追加できる携帯電話、ブログ、Google Mapsも例に挙げた。このような共有を前提とした新世代のアプリケーションがインターネットを動かしていく、とSchmidt氏は述べる。

これは「ユーザーtoユーザー、デバイスtoデバイスの通信を実現する大きなシフトであり、共有や検索のニーズはさらに増える」とSchmidt氏。

iPhoneにGoogleアプリ? - 提携戦略、広告、プライバシー問題

提携については「戦略として非常に重要」と述べた。Googleは2006年、売上げの30億ドルを共有などの形で提携先にもたらしたという。提携はマーケティング、販売、などさまざまな面でメリットをもたらすもので、今後も提携戦略を進めていくようだ。なお、取締役を務めている米Appleとの提携に関するうわさについて、Schmidt氏はポケットから「iPhone」を取り出し、Google Mapsを搭載していることを認めた。これ以外は非公開とのことだった。

現在Googleの売上げの97%を占めるという広告については、「巨大な業界だ。だが、オーディエンスが分断化しているという課題がある。Googleは自動化/効率化のツールを提供することでこの問題の解決を支援する」とSchmidt氏。GoogleはWebテキスト検索広告と同じツールを提供するアプローチで、すでに複数のラジオ局とターゲット広告で提携している。

プライバシー問題についても触れた。Googleは先日、EUの規制当局の要求に応じ、データ保持期間を18カ月に短縮することを発表している。プライバシーの懸念はなかなか払拭されないが、Schmidt氏はそれを認めつつ、「非常に重要視している。実際、18カ月と明確に保持期間を発表しているのはGoogleだけだ」と述べた。Googleのように各国で展開する企業は、法規制遵守は複雑な問題だ。ある国では禁止されていることが、別の国では望ましくないにとどまっている場合、両方に沿う必要がある。Schmidt氏はYouTubeや中国の検閲問題についても、「各国の規制の下で運営する」と述べるにとどまった。

競合については、余裕の姿勢を見せた。折りしも前日、米YahooのCEO交代が発表されたところだったが、「Yahooの新CEOにアドバイスするなら?」という質問には、「そのような立場にない。Jerry(新しく就任するJerry Yann氏)は私より検索業界に長くおり、自分がやるべきことをわかっているはずだ」とコメントした。また、米Microsoftについてはオンラインのオフィスアプリケーションで競合していると見られていることを否定し、「Google Appsはまったく新しいパラダイムで、(Microsoft Officeと)競合するものではない」と述べた。