モバイルノートの命は軽さ。本体の軽量化には、地道な努力の積み重ねがあったようだ。ひとつひとつ部品の重さを量り、材質や形状を検討。数g単位の軽量化を積み重ねていった。
「これはDVDドライブユニットの上面にあるステー板金ですが、軽くするため穴を開け肉抜きをしています。単純に穴を開けただけでは強度が足らないので、端を折り返すことで強度を増しました。肉抜きしない状態に比べ1.3g軽くなっています」(後藤氏)
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| 改良前のステー板金(右)と、肉抜き後のステー板金(左) | 右にある2枚の金属板は、PCカードを取り出す部品。ステンレス(右)からアルミ(左)に変更。本当は肉抜きをしてさらに軽量化をはかりたかったが強度が足りず断念。左はヒンジ金具。ステンレス(右)からチタン(左)に素材を変更した |
ディスプレイと本体をつなぐヒンジの部分は、最も強度と耐久性が要求される部分だ。この部分は、後藤氏が前機種「LOOX Q」の開発を担当したとき、ステンレスからチタンに変更。LOOX Tでも引き続きチタンのヒンジを採用した。
「ディスプレイの中央を持って丁寧に開ける方は少ないと思います。たいてい左右のどちらかを持って開けるので、ねじれの力が加わりますから、パネル全体のねじれに対する強度にも配慮しています」(遠山氏)
さらに軽量化のためカードの引き出し方法にもひと工夫があった。
「一般的にはボタンを押してカードを取り出しますが、部品が大きくなってしまうので、1枚の板の先を折り曲げたアルミの板の先にカードをひっかけ取り出すスライド方式にすることで、本体を小さく軽くすることにもつながっています」(後藤氏)