回路設計を担当したモバイル技術部の島崎麻雄氏は、使い勝手を犠牲にしないためUSB端子の位置ひとつにまでこだわったと話す。

「LOOX Tでは両サイドにUSBがありますが、回路設計の観点からすれば、片側に集めたほうが回路を集約でき、無駄なケーブルも不要なのでメリットは大きいのです。ただ使い勝手の観点から言えば、USBマウスのために右側にも必要なのです」

メインボードは左側にあるため、USB端子を右側にするためにはケーブルでつながなければならない。そう簡単な話ではなく、ケーブルが長くなったことで、接続したUSB機器からの信号の波形がくずれ、信号の精度が低い機器を使ったときに動作しないリスクも生まれる。

島崎氏は、質の高いケーブル、コネクタを選び、精度の低い機器でも確実に動作するようにした。しかもマウスの操作でコードがじゃまにならないように奥側にUSB端子をレイアウトし、その他の端子も電源はUSBの奥、LAN、モデムは背面にと、自宅や会社の机の上で使うときも使い勝手がよくなるよう配慮されている。

Skypeやビデオチャットで使えるカメラとマイクがつけられた。最初はカメラをディスプレイ下側につける予定だったが、鼻の穴が見えてしまうので、上に移動。マイクはデジタルマイクで明瞭な音質を得られる

軽く、小さく、頑丈であることはユーザーにとってうれしい限りだが、使い勝手がよくなければ意味がない。モバイルノートはこうしたこだわりと努力の積み重ねで作られていることを、改めて知った取材だった。