衝撃と振動からデータを守るため、加速度センサーをつけ衝撃が加わったとき、HDDのヘッドを待避させる仕組みは、いまやモバイルノートの常識。「LOOX T」でも採用されているが、衝撃吸収材にも工夫があった。

「LOOX T」では、特殊なゴム製の衝撃級取材が使われている。この素材が使われたのは「LOOX T」が初めてではないが、なかなか優れた衝撃吸収素材だ。1mの高さからパチンコ玉を落としても弾まない。HDDの緩衝材のほかスポーツ用品などにも使われているという。

かつては振動と衝撃を吸収する2種類の緩衝材を使って、HDDのすべての面に取り付けられていたが、性能が向上したこの素材にしてからは、HDDの4隅に貼るだけですむようになった。

HDDドライブの4隅に見える黒い部分が特殊なゴムを使った緩衝材

HDDを接続するケーブルは、ちょっと長めになっている。理由は引っ張られたときに断線を防ぐためだが、遠山氏によるとそれだけではないという。ケーブルを長くして組み立てやすくすることで、品質向上にも一役かっているというのだ。

HDDが収納された部分。左側に本体のコネクタがある。HDDのコネクタ部は右側なので、取り付けが楽

「部品を詰め込めるだけ詰め込んでしまえば小さくなりますが、逆に組み立てが難しくなり作業ミスが増え、品質低下につながります。そこで開発の早い段階から、製造部門、品質管理、製造技術の関連セクションが集まり、実際に組み立てを行う人がミスをしない設計を検証することで、高い品質の製品づくりに取り組んでいるのです」

「LOOX T」は島根富士通で生産されているが、品質管理を徹底できるのも国内生産の大きなメリットである。