• 配線工程

前回は、半導体製造の8工程のうち5つ目の「成膜工程」について段階を追って説明しました。今回は6つ目の工程となる、構造を電気的に接続する「配線工程」を紹介します。

半導体は、伝導体と非伝導体または絶縁体の間で電気伝導性を示す材料で、電流全体を制御することができます。チップ製造では、ウェハにフォトリソグラフィ、エッチング、成膜の工程を施して、トランジスタやその他の構造を形成します。これらの構造は、信号や電力を送受信できるように接続する必要があります。

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金属配線を形成する「配線工程」

回路の配線には、電気伝導性を持つ金属が使用されます。半導体に使用する金属は、下記の条件を満たす必要があります。

  1. 低電気抵抗性:金属回路は電流を流すため、使用する物質の電気抵抗は、低い必要があります。
  2. 熱・化学安定性:金属配線工程中に、金属の特性が変わらないことが不可欠です。
  3. 高信頼性:集積回路技術の進歩によって、金属配線に使用する材料は細部においても耐久性が必要です。
  4. 製造コスト:上記の条件を満たして、なおかつ半導体の大量生産に適したコストである必要があります。
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  • 左から、銅、アルミニウム

アルミニウムと銅は、配線工程に使用される主要な物質です。今回はアルミニウム配線工程と銅配線工程について説明します。

アルミニウム配線工程

アルミニウム配線工程は、アルミニウム成膜、PRの塗布、フォト工程を通じた露光と現像を行うところから始まります。次に、エッチング工程で不要なアルミニウムとPRを除去してから酸化工程に進みます。フォト工程の後にエッチング工程と成膜工程を繰り返すと、配線工程が完了します。

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  • 配線工程

アルミニウムには電気伝導性があるという利点があります。またアルミニウムはフォトリソグラフィやエッチング、成膜を容易に行うことができます。さらに、酸化膜にしっかり密着し、コストを抑えることができます。その一方で、腐食しやすく融点が低いという欠点があります。また、シリコンに反応するという特性による結合の問題を避けるために、アルミニウムとウェハの間に金属成膜を追加します。これを「バリアメタル」と呼んでいます。

アルミニウム回路は成膜によって形成されます。ウェハを真空装置の中に設置すると、アルミニウム粒子がウェハに薄膜を形成します。この工程は蒸着と呼ばれ、化学気相成長(CVD)または物理気相成長(PVD)があります。

銅(Cu)配線工程

半導体工程は微細化され、デバイスのサイズは小型化しているため、アルミニウム回路は十分なスピードと電気特性を提供できません。したがって、デバイスのサイズとコストの両方に敏感な伝導体が必要です。銅はアルミニウムよりも電気抵抗が小さく、より速いデバイスのスピードに最適であるため、銅がアルミニウムに取って代わりました。また銅は、電流が金属を流れる時の金属イオンの動きである電子移動への耐性が高いため、より信頼性が向上します。

  • 配線工程

しかし、銅は簡単に化合物を形成できないため、ガスへの変換やウェハ表面からの除去が困難です。したがって、銅をエッチングする代わりに誘電体を成膜およびエッチングして、必要に応じて「トレンチ」や「ビアホール」のパターンのメタルフレームを形成します。このパターンに銅を埋め込んで配線を形成しますが、これは「ダマシン工程」と呼ばれています。

  • 配線工程

銅原子が誘電体に広がると、絶縁が低下するので、誘電体への銅の流れを遮断するバリア層が築かれます。この後、バリア層に薄い銅シード層が形成され、電解メッキ工程を通じて高アスペクト比のパターンに銅が埋め込まれます。

メタルの化学機械研磨法(CMP)を用いて余分な銅を削り取ります。次に酸化膜を成膜したら、フォトリソ工程とエッチング工程によって不要な膜を除去します。ここでもう一度、銅の成膜、CMP、酸化膜の成膜、フォト工程およびエッチング工程が繰り返えされ、銅配線が完成します。

  • 配線工程

ここまで説明したとおり、アルミニウム配線と銅配線の違いは、余分な銅はエッチングではなくメタルCMPで研磨して削り取ることです。

配線工程でご紹介したように、成膜、フォトリソグラフィ、エッチングなどの工程を繰り返すことで回路を形成し、最終的に半導体が完成します。

次回は、「検査工程」をご紹介します。

配線工程関連用語

バリアメタル

配線工程で使用される材料で、アルミニウムとウェハの間に成膜して、シリコンウェハとアルミニウムの拡散を防ぐ。

化学気相成長(CVD)

成膜方法の1つで、材料をガス化させ、化学反応によって堆積させることです。反応物がウェハに堆積して成膜され、余分な材料は除去される。

ダマシン工程

誘電体の成膜を形成し、そこにエッチング工程を通じて銅を埋め込むためのトレンチとビアホールのパターンを作る配線技術。

トレンチ

銅回路を形成するために絶縁体をエッチングした金属の形状。

ビア

2つの導電層を接続する電気経路。

配線装置

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(次回は2021年3月に掲載します)